タバコを吸わない女性も気をつけたい 「肺がん」を正しく知り、検診を受けましょう
ミュージシャン
河村隆一

かわむら りゅういち 1970年、神奈川県生まれ。RYUICHI名義で「LUNA SEA」および「Tourbillon」のヴォーカルを担当。2006年に結婚。俳優、小説家、レーサーとしても活動し、ЯK(アール・ケー)名義で音楽プロデューサーとしても活躍している

女優・タレント
青木さやか

あおき さやか 1973年、愛知県生まれ。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントの道へ。バラエティ番組やドラマ、舞台などで幅広く活躍中。著書に『婦人公論.jp』の連載「49歳、おんな、今日のところは『◯◯』として」をまとめた著書『母』(中央公論新社刊)など

男性や喫煙者に多いイメージの「肺がん」。
近年、タバコを吸わない女性の患者が増えているようです。早期のがんを経験した青木さやかさんと河村隆一さんが、自分の体と向き合うことの大切さを語ります

「まさか自分が?」
目の前が真っ暗に

河村
僕は2018年に肺がんと診断されたのですが、「肺がんは喫煙者がなるもの」と思っていたので「なぜ、タバコを吸わない僕が?」と、本当に驚きました。青木さんはいかがでしたか?
青木
うちはがん家系なので、自分もがんになるかもしれないということは頭の片隅にはありました。ただ、肺がんはまったくの想定外。肺がんは男性がなる病気というイメージがあったので。
河村
僕の場合、咳が出るとか、息が苦しいといった自覚症状もまったくなかったんですよ。
青木
私も同じです。どこも痛くないし、具合も悪くないのに肺がんなんて......。私はシングルマザーで、娘はまだ小学校に上がったばかり。「この先の仕事は? 生活は? 万が一、自分が死んでしまったら、娘はどうなるの?」って、不安で目の前が真っ暗になりました。
河村
わかります。僕も、「がん」という言葉が重かった。ヴォーカリストという仕事柄、肺の手術をすると肺活量が減り、今までのように声が出なくなってしまうのではないかということも心配でしたね。
青木
私も、舞台の仕事や人前でしゃべる仕事は難しいのではないかと。
河村
家族にも心配をかけたと思います。幸い、うちの家族は前向きで、「大丈夫。信頼できる先生に委ねて、きちんと治そう」と言ってくれたので、気持ちがすごくラクになりました。僕の心境を気遣ってそう言ってくれたのでしょうけど、 本当にありがたかったと感謝しています。
Kawamura Ryuichi

早期発見できれば、
元通りの生活に

青木
正直な話、手術を受けた後は、生活が一変すると思っていました。でも、おかげさまで今も舞台に立っていて、「誰よりも大きな声が出ているね」って言われるほど。(笑)
河村
僕も、すっかり元通りの生活です。歌の仕事はもちろんのこと、先生の許可をいただいて、術後の早いうちから、スポーツジムにも通い始めました。
青木
自分が肺がんだったことを思い出すのは、今では1年に1日くらい。それだけ、体調がいいということですね。

早く見つかるほど、
完治の可能性が高くなります

河村
それもこれも、ごく初期の段階でがんを見つけることができたからだと思います。僕は30代後半から人間ドックを受けるようになり、そこでステージIのがんが見つかった。ごく初期だったので、体に負担の少ない胸腔鏡手術で、切除する肺の部分も最低限で済みました。おかげで、肺活量も以前とまったく変わりません。
青木
私も、40歳になったとき、「一緒に検診に行こうよ」と先輩に誘われて、《おつきあい》で行った人間ドックで、ステージ0のがんが見つかったんです。あのとき誘ってくれた先輩には本当に感謝しています。
河村
今や、日本人の2人に1人ががんになる時代でしょう。肺がんの中でも、僕がなったのは「肺腺がん」。タバコを吸わない人でもなるのだと、主治医の先生に聞きました。
Aoki Sayaka

肺がんにもさまざまな種類が
あると知ってほしいです

青木
私も肺腺がんと診断されて、「このタイプのがんは女性に多い」と言われました。『婦人公論』の読者アンケートで、「女性は肺がんにならないと思う」という回答も多かったのですが、それは誤解です。肺がんにもさまざまな種類があることを、ぜひ知っておいてほしいです。
河村
そのうえで、1人でも多くの方に、肺がん検診に行っていただきたいですね。早く見つかれば見つかるほど、完治する可能性が高くなりますから。僕がブログに、「今日、検診に行ってきました」と書くと、「私も行ってきます」と、コメントを書き込んでくれるファンの方が増えたのが嬉しいです。
青木
私もインスタで、「肺がんの手術を受けました」と報告したら、「私も検診に行ってみます」とコメントされる方が増えました。仕事や家事で忙しい女性が、検診に行く時間が取れないのもよくわかります。読者アンケートでも、そうした声が多かった。でも、家族の生活を支えている女性が倒れてしまったら、それこそ一大事ですからね。
河村
定期的に検診を受けて何事もなければ《安心》が得られます。万が一、がんが見つかっても、早期発見であれば、治療したことも忘れるくらいの未来が待っていますから、ぜひ検診に行っていただきたいと思います。