知ってもらいたい、肺がんのこと Special Talk Session
タレント 青木さやか × ミュージシャン 河村隆一

肺がんの罹患(りかん)経験を持つミュージシャンの河村隆一さんとタレントの青木さやかさん。
二人とも自覚症状はなく、検診で肺腺がんが見つかりました。「早期発見が何より大切」と語る二人の対談をお届けします。

「なんで非喫煙者の自分が?」
という思いでした。

河村
2018年の人間ドックで小さな影が見つかりました。でも、自覚症状はまったくないし、画像を見せられてもよく分からない。何かの間違いじゃないかと思いました。
青木
咳が出るとか息苦しいとか、全然ないですよね。
河村
ないです。しかも、僕はタバコも吸いません。肺がんって喫煙者がなるものと思っていたこともあり、「なんで?」と本当に驚きました。僕のなった肺腺がんというのは、喫煙の有無によらないそうですね。誰でもなるリスクがあると聞きました。
青木
私も肺腺がんでした。河村さんも経過観察からの手術ですか。
河村
僕の場合は、高分化肺腺がんという進行の遅いものだったんですが、胸壁の近くにできていたんです。主治医には「肺の外に転移するといけないから」と言われ、半年ほどの経過観察の後、手術を受けました。
青木
術後、どうなるんだろうという不安は?
河村
職業柄、肺活量にどの程度の影響があるのかはとても気がかりでした。でも、先生が「肺活量にはほとんど影響ない」「数週間で体力は戻る」と言ってくださって、術後経過についても細かい説明があったので、安心できました。
青木
信頼できるお医者さんの言葉は支えになりますよね。
河村
主治医の説明を聞いて、僕は術後1か月後に仕事復帰しようと、ノーマイク・ノースピーカーのコンサートツアーの予定を入れたんです。退院後、順調に回復し、無事にやり遂げることができました。
青木
すごい! でも、私も退院後数週間でドラマに復帰しました。元プロレスラー役で(笑)。
河村
またハードな(笑)。でも、術後すぐに仕事に復帰できたのも、早期で発見できたからですよね。早期であれば、体に負担の少ない治療ができるので。
青木
そうですね。私も、あの時に検診を受けて本当に良かったと思っています。

早期(ステージ1)に見つかった肺がん患者さんの5年生存率は7割以上

5年生存率とは、診断または治療開始から5年後に生存している患者さんの割合のことです。手術でがんを取り除いた後、再発せず5年間が経過すると、治癒したとみなされることが多いため、5年生存率が予後の指標となります。
肺がんにおける5年生存率※は、Ⅰ期(ステージ1)であれば73.5%ですが、IV期(ステージ4)になると6.8%まで低下します。初期に見つかるほど5年生存率が高いため、早期発見がとても大切です。

国が検診を推奨する五つのがんの5年生存率※
  • ※2014年にがんと診断された人を対象にした国立がん研究センターの調査から
    出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」2014年5年実測生存率

女性にとって、肺がんは
遠いイメージでした。

青木
2014年に、先輩に連れられて受けた人間ドックで影が見つかりました。肺炎などの痕跡かもしれないとしばらく経過観察していましたが、3年後、影が大きくなってきて、がんの可能性が高いと言われました。
河村
驚きましたよね。
青木
ショックでした。まさか肺がんとは。うちはがん家系ですが、肺がんではなかったんです。婦人科系のがんは気にしていましたが、肺がんはなんとなく男性がなるものというイメージがありました。ですが、医師からは、私が罹患した肺腺がんは女性に多いタイプだと聞きました。
河村
がんの可能性が高いと聞いて、すぐ手術を決めたんですか。
青木
はい。手術をしたら生活が一変するのではと心配でしたけれど、性格上、体に不安を抱えたまま過ごすのは耐えられない。当時は娘も小さかったので、いろんな選択肢がある中で、私は何を選択するべきかと考えました。
河村
手術をするかしないか、するならいつか。すべてが選択ですよね。
青木
初期で見つかったからこそ、選択肢もあるんですよね。多くの症例を見てきた先生が、私や私の生活に寄り添ってベストな選択を一緒に考えてくださったことは、冷静に考える上で助かりました。実際、術後2、3週間で仕事にも復帰でき、今、生活には何も支障はありません。
河村
僕も今、がんであったことを忘れるくらいです。
青木
同じ部屋に入院なさっていた肺がん患者さんの存在も励みになりました。河村さんともそうですが、当事者だから分かり合えることや知り得ることってありますよね。あと、患者さんやがん経験者と話すことで、がんは決して特別なことではないと思えたことも良かったです。知らないから必要以上に怖がってしまう。
河村
2人に1人ががんになる時代。早期に発見できれば治せる病気であることや、検診の大切さがもっと伝わるといいですね。

がんの中でも死亡原因として最も多い肺がん

肺がんは、日本人男性では、がんによる死亡原因の1位を占め、女性においても大腸がんに次いで死亡原因の2位となっています。2022年における肺がんによる死亡数は、7万5100人と推定されています。性別にかかわらず、肺がんは見つかる可能性があります。

2020年の死亡数が最も多い部位
  • 2020年にがんで死亡した人は378,385人(男性220,989人、女性157,396人)
    出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
がんによる死亡数の予測(2022年)
  • 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計予測」がん死亡数予測(2022年)

肺がんは見つけにくい。だから定期的な検診を。

河村
何か見つかると怖いから検査したくないという話も聞きますよね。その気持ちもわかるんですけれど。
青木
わかります。私もそうでした。でも、先輩に連れられて人間ドックを受けて、影が見つかった。そこで「検査しなきゃよかった!」とはならないですよね。女性の私からすると、肺がんは遠いイメージもあったので、やはり「見つかってよかった」と思いました。
河村
肺がんの初期は自覚症状もないですからね。僕もまさか非喫煙者で肺がんになるとは思ってもいませんでした。肺がん検診は時間も負担もあまりかからないので、ぜひ受けてほしいです。
青木
私は今、肺がん検査も年に一度でよくなったんですが、河村さんは?
河村
僕も年に一度になりました。今、本当にすごく元気なんです。なので、早期発見・早期治療ができれば、手術したことも忘れるくらいの未来が待っていますよと伝えたいですね。
青木
私も普段は忘れています。でも、以前に比べて、健康には気をつかうようになりました。手術を受ける時、医師に「手術ができる体力はつけておいてください」って言われたんです。病気を治す時も、普段の健康状態が問われるんだなと知りました。
河村
確かにそうですね。僕は身をもって検査の大切さを知っただけに、肺がん以外の検査も定期的に受けるようになりました。若い後輩たちにもすすめています。
青木
こうした肺がん検診の啓発活動を通じて、インスタなどに「私も検診に行きました」というメッセージをいただくとうれしいですよね。「実は私もがんでした」という方もいて、がんについてオープンに情報交換できるのもいいなと思います。
河村
スタッフやファンなど、僕の周りでも検診に行く方が増えました。青木さんや僕の今の元気な姿を見て、早期であればがんは怖くない、検診が大切と発信できていることは、とてもうれしいです。

40歳以上の方は定期的に肺がん検診の受診を

肺がん検診の受診率は、40~69歳の男性で53.4%、女性で45.6%です。タバコを吸っている人だけでなく、吸っていない人も肺がんにかかる可能性があります。喫煙の有無に関わらず、40歳以上の方はぜひ肺がん検診を受けてください。

世代別で見る肺がん検診受診状況※
  • ※過去1年間に受診した人の割合
  • ※厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」を基に作成
ミュージシャン
河村隆一

1970年生まれ。LUNA SEAおよびTourbillonのボーカリスト。俳優・小説家・レーサーほか、音楽プロデューサーとしても活躍。2018年に肺腺がんを発見。

タレント
青木さやか

1973年生まれ。タレントとして数々のTV番組に出演するほか、俳優・文筆家としても活躍。2007年に結婚、10年に女児出産、同年に離婚。2014年に肺腺がんを発見。

原稿制作:読売新聞社広告局
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