喫煙者の肺がんのリスクは4.5倍

肺がんの最大の原因はタバコといわれています1)
「タバコを吸ったことがない人」のがんにかかるリスクを1.0とすると、「現在タバコを吸っている男性」のリスクは、がん全体で1.6倍、肺がんで4.5倍となり、「現在タバコを吸っている女性」のリスクは、がん全体で1.5倍、肺がんでは4.2倍になると報告されています1)
また、タバコを吸わない人でも、周囲に流れるタバコの煙(副流煙)を吸うことにより、リスクが高まることもわかっています。

1)がんの統計2008年度版(財団法人がん研究振興財団発行)

タバコ以外の原因

がんと遺伝の関係

これまでの調査で、肺がんの家族歴がある人は、ない人に比べて肺がんになるリスクが2倍ほど高く、肺がんになりやすい傾向があることがわかっています。性別で比べると男性よりも女性のほうがこの傾向が高まります。
この理由は解明されていませんが、家族に同じがんになった人がいるということから、体質的に肺がんになりやすい遺伝的な共通点があると考えられています。

肺がんと関係のある遺伝子

乳がんや卵巣がんでは、がんの発生に深くかかわる遺伝子が発見されており、このような遺伝子異常のある人が多発する家系があることがわかっています。同様に肺がんでも関係のある遺伝子の候補があり、複数の遺伝子が関係しているのではないかと考えられています。

大気汚染

大気汚染物質には、発がん性や変異原性を示す種々の複雑な化合物が存在します。なかでも、ディーゼル排ガスの黒煙などに含まれる粒径2.5μm以下の微小浮遊粒子(PM2.5)は、粒子の大きさが非常に小さいため(髪の毛の太さの30分の1)、肺の奥深くまで入りやすく、強い発がん性を示します。

職業によるリスク(アスベストなどの有害化学物質について)

アスベスト(石綿)は、直径0.1~1μmの微細な繊維が合わさって軽い綿状になった鉱物で、建材、電気製品、自動車、家庭製品などさまざまな用途に用いられてきました。簡単に飛散し、肺に吸入されても分解されず、消化しようとする肺の白血球も死滅させられてしまい、この繊維を吸入してから15~40年後に肺がんが発生することが明らかになっています。また工場や建設現場、鉱山などでアスベストにさらされた経験がある人がタバコを吸っていると、肺がんの発生リスクが相乗的に高くなることが知られています。
アスベストのほかには、ヒ素やクロロメチルエーテル、マスタードガス、クロム、ニッケルを扱う工場の労働者や、ウラニウム鉱山の労働者に、肺がんが多発することが報告されています。

女性ホルモン(エストロゲンなど)の影響

男性に比べてタバコを吸う女性は少ないものの肺がんは発生していることから、女性ホルモンが何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えられています。実際に、初経から閉経までの期間が短い人に比べて、この期間が長い人で肺がんの発生率が2倍以上高かったことが報告されています。女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、肺のがん化やがん細胞の増殖を促進することで、肺がんの発生にかかわると考えられており、詳しいメカニズムの解明に向けて現在も研究が進められています。

喫煙者の肺がんのリスクは4.5倍