TOPIC2

手術の影響による身体の変化と対処

手術後は、肺を切除した影響で息苦しく感じたり、切った場所に痛みが残ったりする可能性があります。
そんなとき、機能回復を目的としたリハビリをおこなうことで、身体の変化とうまく付き合っていけるようになることがあります。

手術の影響による身体の変化と対処

CASE

薬をうまく使って痛みをやわらげる

60代女性(手術時50代)|ステージⅢA

痛み:つらさと対処

なるべくお薬を飲みたくないと思う人もいるかもしれませんが、先生からは「痛みは我慢するものではない。痛み止めをうまく使えばいい」といわれました。先生に処方されたお薬はうまく使えばいいのではないかと思います。

痛みをやわらげるために抱き枕やカイロを活用

60代男性(手術時50代)|ステージⅠB

痛み:つらさと対処

手術後2日ほどは痛みがひどく、横になって眠ることができませんでした。痛みのある部分を自分で押さえていると楽だったので、家族に抱き枕を持ってきてもらって、それを抱いてベッドに座った状態で寝ていました。また、温めると痛みが楽になるので、カイロを使って温めました。脇の下から胸にかけて、多いときで5枚ほど貼っていました。

手術後は痛みや違和感が残ることもあるが、手術前と変わらない生活を送っている

70代男性(手術時60代)|ステージⅠA

痛み:つらさと対処

手術後3年経った今でも、痛みや気管挿管によるのどの違和感が残っているように感じます。暖かい部屋から冷えたところに行ったり、横になったりしたときに、咳が出ることもあります。肺機能は低下したままですが、手術前からおこなっていた農作業にはほとんど影響していません。概ね、手術前と変わらない生活が送れています。

手術前に教えられた呼吸器体操で呼吸が楽になった

60代男性(手術時50代)|ステージⅠB

呼吸:つらさと対処

退院後はいつも通り普通に歩いたり、ちょっとした段差を上がったりするだけで息苦しくなりましたが、そんなときは、手術前に看護師さんに教えてもらった呼吸器体操をしていました。ゆっくり口をすぼめて息を吐く、吸うことよりも吐くことに意識を向けると、吐いた分だけ自然に息を吸い込むのだそうです。すごく息苦しくなっても、1~2分じっとしていればもとに戻りました。呼吸器体操は肺の周りの筋肉をストレッチするためにおこなうのですが、手術後も続けています。
また、手術後は痛みのせいで痰が詰まると出しにくくなると聞き、手術前に痰の出し方を練習しました。確かに手術後、痰が絡んでつらく感じたことがあったので、出し方を学んでおいてよかったです。

手術後は深呼吸ができなくなったがリハビリで改善した

40代男性|ステージⅢA

呼吸:つらさと対処

手術前は当たり前のように息を吸ったり吐いたりできたのですが、手術で肺を切除すると呼吸が浅くなってしまい、うまく深呼吸ができなくなりました。呼吸機能を回復するために、目の前のひもに強く息を吹きかけるリハビリをはじめましたが、最初は手術前のように当たり前に息を吹きかけることができませんでした。リハビリの必要性を感じましたね。リハビリを続けることで、呼吸が徐々に改善していきました。

味覚の変化で白米が食べられなくなった

呼吸も発声もできないのではないかと心配したが、想像したほどではなかった

40代女性|ステージⅠA

手術後のつらさは人それぞれ

肺を切除するので、「呼吸ができなくなるんじゃないか、声も出なくなるんじゃないか」と思っていましたが、思ったよりも大丈夫だと思いました。声を使う仕事をしているので当分は復帰できないのではないかと思っていましたが、手術の翌日から想像していたよりも話すことができたので安心しました。

監修:国立がん研究センター中央病院
 呼吸器外科 科長 渡辺俊一先生