TOPIC8

主治医とのコミュニケーション

二人三脚で肺がんの治療に臨む主治医とは、どうコミュニケーションを取ればいいのでしょうか。
「自分の症状をうまく伝えられない」「何から聞けばいいかわからない」という場合には、事前にメモをして整理しておくのがポイント。ご自身でメモを作りづらい場合は、周りの人に相談してみましょう。
主治医に直接話しづらい場合には、看護師等にあいだに入ってもらうのも一つの手段です。

CASE

診察前に聞きたいことをメモしておく

60代女性(手術時50代)|ステージⅢA

事前準備をしてみたケース

主治医は限られた時間で診察しているので、患者さんが要領よく話すことも大切だと思います。自分が何を不安に思っているのか、どんなことを先生に聞きたいのか、あらかじめまとめておく。患者会でおすすめしているのは、診察の前に聞きたいことをメモしておき、それに沿って話すことです。病院によっては、「ここが不安です。心配です」といった気持ちを書き出して、診察前に渡しておけるシステムがあるところもあります。一番心配なのはどんなことなのか、患者さん側から話せるように自分でまとめておくといいと思います。

診察前に聞きたいことをメモしておく

納得できるように診察前に情報を調べ、質問を考えておいた

40代女性|ステージⅠA

事前準備をしてみたケース

外来の診察の時間は短いので、そこでいわれたことを調べたり、一から聞いたりするのは難しいですし、聞き忘れることもあります。ですから、診察に臨む前に「これとこれは聞こう」と準備をしていました。たとえば、あらかじめ自分の状況に対する治療法について調べて、治療の選択肢を整理しておきます。診察時には先生に「この状況だからこの薬を飲んだほうがいいということでしょうか?」と確認をするように聞きます。そうすると先生は「イエス」「ノー」で答えてくださったり、わかりやすい回答をしてくれます。

納得できるように診察前に情報を調べ、質問を考えておいた

予備知識がないまま診察に行って、治療法について「どうしますか?」と聞かれても、急には答えられません。ですから前もって調べておいて、「この中からこれを選択しようと思いますがいかがでしょうか」という感じで、先生がピンポイントで答えられるようにしておくといいと思いました。

入院以来残していた日記や診断書がセカンドオピニオンで役に立った

50代男性(手術時40代)|ステージⅡB

事前準備をしてみたケース

当時入っていた生命保険の付帯サービスを使って、セカンドオピニオンを受けたことがありました。私は入院して以来治療についての日記をパソコンに残していたので、セカンドオピニオン当日はそれをプリントアウトして持っていきました。また、先生に聞きたいことをあらかじめメモしていきました。治療した日付等は覚えていられないので、そうした記録を取っておいて役に立ったと思います。

先生に話しづらいことがあり、看護師にあいだに入ってもらった

40代男性|ステージⅢA

第三者に相談してみたケース

先生と意見が合わなかったり、いいたいことがなかなかいえなかったりするのであれば、先生との関係性づくりやセカンドオピニオンについて、がん相談支援センターに相談するという手段もあります。私の場合は花粉症の症状があったのですが、がんの治療中に花粉症のことを先生にいい出せずにいました。それを外来の化学療法室の看護師さんに伝えたところ、「私から伝えておいてあげるよ」と。

先生に話しづらいことがあり、看護師にあいだに入ってもらった

先生とぶつかってしまったり、うまくいってないなと感じたりするなら、看護師さん等他の医療従事者の人に相談する。それでもうまくいかないならセカンドオピニオンでもいい。誰かにコミュニケーションの取り方について相談するのはいいことだと思いますね。

ADVICE

自分も知識を持ったうえで医師と相談することで、納得いく治療法が選択できると思う

40代男性|ステージⅢA

体験者からのアドバイス

医師から一方的に「あなたにはこの治療法しかありません」といわれて「わかりました」と飲み込むのではなく、「なぜその治療法なのですか?」と相談しながら治療を進めていけるといいですね。万が一それがマイナスの結果になったとしても、自分で選択したことだから納得がいくと思います。

監修:国立がん研究センター中央病院
 呼吸器外科 科長 渡辺俊一先生