年齢ごとの罹患率

全がんとの比較

がんにかかっている人(罹患者)全体と比較すると、肺がんは、男性、女性ともに、高齢になるほどその割合が大きくなることがわかっています1)
下表は、2014年度に新たにがんと診断された患者さんのがん種を年齢層別に見たものです。男性では、40歳以上で消化器系(胃、大腸、肝臓など)のがんが5〜6割を占めますが、70歳以上では肺がんと前立腺がんの割合が大きくなっていることがわかります。女性では、40歳代で乳がんが約5割、子宮がんと卵巣がんが合わせて約2割を占めますが、年齢層が上がるほどそれらの割合は小さくなり、肺がんと消化器系のがんの割合が大きくなっています。

1)がんの統計2018年度版(財団法人がん研究振興財団発行)

年齢階級別 がん罹患部位内訳 (2014年)

年齢階級別 がん罹患部位内訳 (2014年)

肺がんの中での比較

肺がんの中でも、年齢が上がるほど罹患者数が増える傾向は明らかです1)。 下表は、肺がんの罹患率(人口10万人に対する肺がん患者さんの割合)を男女、年齢層別にみたものです。男女ともに、特に70歳以上で増加していることがわかります。
また、全体的に女性よりも男性のほうが、1980年よりも2014年のほうが高い罹患率を示しています。

1)がんの統計2016年度版(財団法人がん研究振興財団発行)

年齢階級別 がん罹患率推移 (1980年、2014年)

年齢階級別 がん罹患率推移 (1980年、2014年)

若年世代のがん

肺がんは20代、30代の若年世代ではかかりにくい

20代前半までは、血液腫瘍、脳腫瘍、骨腫瘍、軟部肉腫、胚細胞腫瘍、甲状腺がん、メラノーマなど、希少がんといわれている種類のがんが多くみられます。年齢が上がって20代後半から30代になると、子宮がんや乳がんなど、より高齢層でもみられるようながんが増加します。若年世代では、高齢者に多くみられるいわゆる5大がん(肺がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん)にかかる患者さんはあまり多くありません。
若年世代のがんは、全体の中での頻度が低いため、そのニーズが見逃されてしまいやすい側面があります。他の年齢層のがんと比べて診断の遅れも起きやすく、新しい治療が少ないため生存率があまり改善していないともいわれています。これらの問題を受け、近年、日本でもAYA(Adolescents and Young Adults:思春期・若年成人)世代と呼ばれる15〜40歳の方に対するがん対策のあり方が検討されるようになっています。

年齢に応じた治療方法

肺がんでは80歳以上でも積極的に手術をするの?

一般的に、肺がんの手術適応は、年齢だけでなく、基本的な心肺機能検査や血液検査などをふまえて、全身状態を総合的に評価したうえで判断します。80歳以上と言っても、元気な方もいれば、他にいくつか病気を抱えている方もいらっしゃいます。身体の状態がよく、肺がんのステージが早期であれば、手術のリスクに見合うだけの予後が期待できる可能性もあります。
では実際に、どのくらいの患者さんが手術を受けているのでしょうか。2017年の高齢がん患者に関する報告2)によると、Ⅰ期の非小細胞肺がんと診断された75〜84歳の患者さんの67.9%が、Ⅱ期の患者さんの48.4%が「手術のみ」の治療を受けています。一方で、85歳以上ではⅠ期、Ⅱ期ともに「放射線のみ」、「治療なし」の割合が増え、体に負担がかかる治療を避ける傾向もうかがえます。

2)がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2015年全国集計報告書(国立がん研究センター発行)