胸水とは

肺をおおう膜と、肺がおさまっている胸部の壁(胸壁)の内側をおおう膜の間にある水のことです。
胸水は、肺がふくらんだり縮んだりするときに膜同士の摩擦をやわらげる役目をもっており、常に少量存在しています。しかし、肺がんや心不全などの病気になると胸水が過剰にたまる“胸水貯留”の状態となり、圧迫感や息切れ、呼吸困難などの症状があらわれます。

胸水には滲出性(しんしゅつせい)と漏出性(ろうしゅつせい)があり、過剰にたまってしまうメカニズムに違いがあります。
滲出性胸水は、胸膜に炎症が起き、血管から水分やタンパク質などが染み出しやすくなるために起こるもので、肺がんや肺炎などが原因です。胸水の色は淡い黄色から黄褐色、濁っているなどさまざまです。
漏出性胸水は、血管内の水圧上昇や血液中のタンパク質濃度が低下して浸透圧が下がるために起こるもので、心不全や肝硬変などが原因です。漏出性胸水の色は淡い黄色か透明です。

また、胸水に血がまざっていると血性胸水、膿がまざっていると膿性胸水です。

肺がんにおける胸水貯留は、肺がんが胸膜に広がったことを示すため、病期はIV期(ステージ4)と判定されます。

胸水の検査(胸水細胞診)

胸水の原因が肺がんであれば、胸水の中にがん細胞が含まれていることが多いので、胸水を抜いて細胞診検査を行います。なお、がん細胞が含まれている胸水を悪性胸水と呼びます。

胸水の有無は胸部単純X線写真、横向きになって寝そべった形で撮った胸部単純正面X線写真、CT、超音波などで確認します。

排液の際には、超音波などの画像検査で胸水があると確認された位置の肋骨の間の皮膚に局所麻酔をして注射器あるいはポンプで水を抜きます。一般的に安全性は高く、苦痛も少ない検査です。ただし、肺がんが強く疑われている場合であっても、抜いた胸水のなかにがん細胞が見つからないこともあります。そのような場合、医師はがん細胞が一度見つからなかっただけでは「肺がんではない」と判断せずに、再検査として胸水の採取を何度か繰り返すことがあります。

胸水の治療方法

胸水貯留により症状がみられるときには、針や管を使って胸水を抜く処置が行われます。

胸水穿刺は、超音波などの画像検査で胸水があると確認された場所に注射針を刺し、水を抜きます。
がん性胸膜炎の場合、一度胸水を抜いても、またすぐにたまってしまうことが多いため、管(ドレーン)を胸に差し込んで、持続的に胸水を体外に出す胸水ドレナージという治療が行われます。胸水を抜いた後は、ふたたび胸水がたまらないよう、肺側の膜と胸壁側の膜を薬剤によってくっつける胸膜癒着術が行われることもあります。

胸水穿刺は一時的な処置ですが、胸水ドレナージは長期にわたることがあります。