CTとは

断層撮影

「ある物体の全体をそのまま投影した影絵の形で見るよりも、その物体を輪切り、あるいは薄切りにしたほうが内部が良くわかるのではないか」

これはその仕事にかかわっているすべての人間が夢見ることでした。最初はX線撮影装置そのものを撮影中に移動させて薄切り像を作りました。これを断層撮影(Tomography)といいます。

ただ、この機械的な断層撮影は周囲のものが写り込むという欠点をもっており、画像も判定するのにかなりの経験を要するぼやけた像でした。

また、周囲のものが写るために骨の後ろに存在するものなどはほとんど撮影不可能でした。例えば頭蓋骨の中身(脳みそです)はレントゲンでは見ることができなかったのです。

しかし、コンピューターの発達に伴い、ある物体にX線を何本もビーム状に照射してそのエネルギーを測定し、ビームの位置関係と減衰の度合いを計算することによって物体の中身を推測し、さらにこの情報を平面図として表現できるようになりました。

これをComputed Tomographyといい、略してCTと呼びます。

CTの撮り方

CTの撮り方

人間を一本の円柱と考えると、CTを実際に撮るときには輪切りにした方が簡単で、効率がよくなります。従ってCTを撮るときには移動可能なベッドに横たわり、大きな輪の中に入っていきます。

この輪の内部にX線の線源(X線を発射する装置)と検出器があり、ちょうど体をはさむようになっています。撮影のときは線源がX線を発射し、体を通したX線を検出器が受け取りながらぐるりとまわります。(実際にはまわっている検出器は見えません)

検出器が1回まわるごとに一枚の体の輪切りの像ができます。ベッドを少しずつ移動しながら、これを繰り返すことで体全体の輪切りの像を見ることができます。

通常、診察室で見せられるCTの写真はこれらの像を通常のフィルムに出力したものです。胸部のCTの場合は足元から見た形で撮影しているので、向かって左が自分の体の右側になります。寝転がっている自分をもう一人の自分が足元から眺めていると考えてください。

レントゲンとの違い

レントゲン(X線検査)は、X線を当てて、肺の全体像を平面画像としてとらえる検査です。

造影剤を使用せずに胸部だけに行うときは、胸部単純X線検査といいます。
肺がんを探すとき(スクリーニング)や治療後の経過観察のとき、再発・転移の部位や胸水の有無を確認するときに行われます。

X線の撮影写真では、骨や心臓は白く写り、肺は黒く写ります。肺の中に白い影があるときには肺がんが疑われます。ただし、肺炎や肺の良性腫瘍などの病気によっても白い影が出るので、X線検査だけで肺がんであると確定することはできません。逆にいうと、X線検査で異常がなかったから肺がんではないとも言い切れません。

通常、立ったまま背中からX線を当てる正面像、腕を上げて体の横からX線を当てる側面像を撮影します。これら2つの写真を併せることで、肺をより立体的にとらえることができます。

胸部X線検査による肺がんの検出感度は60~80%程度、胸部CT検査による検出感度は93~94%ですので、CT検査の方がX線検査より肺がんを検出するのに優れているといえます。

X線検査のメリットは、簡単かつ経済的に検査ができることや、放射線の被ばく量がCTに比べ低いことで、全体的ながんの分布や程度を把握するのにも役立ちます。デメリットは、CTに比べて画像の精度が低いため、小さながんや、臓器のかげにかくれたがんの見落としの可能性があることです。