肺がんがリンパ節に転移した場合は

人間の体には、血管と同じように全身をめぐるリンパ系というネットワークがあります。リンパ系は、体中に張りめぐらされたリンパ管と、リンパ管の集まるリンパ節からできており、細菌やがん細胞をやっつける免疫機能を担っています。

がんが大きくなって近くのリンパ節に広がると、がん細胞がリンパ管を通って、別のリンパ節へ転移するリンパ行性転移が起こります。肺には多くのリンパ節があるため、肺がんはリンパ行性転移を起こしやすいがんといえます。

リンパ節転移が起こると、リンパ節が腫れて周囲の神経や器官を圧迫するため、いろいろな症状が起こります。

リンパ節への転移とステージ・症状

がんの部位に応じて転移しやすいリンパ節がグループ化されており、それを所属リンパ節といいます。
肺がんでは、肺門(肺の入り口周辺)リンパ節、肺内(肺の中)リンパ節、縦隔(左右の肺に挟まれた空間)リンパ節という3つのグループに分かれます。

所属リンパ節への転移の段階はN因子(NX、N0、N1、N2、N3)で表され、病期(ステージ)を決める要素の一つです。数字が大きくなるほど、転移の範囲が広がっていることを示します。

肺がんのリンパ節転移をN因子で表すと、
NXは、所属リンパ節に転移があるかどうか評価できないことです。所属リンパ節がすでに摘出されているときなどにNXとなります。
N0は、所属リンパ節に転移がないことです。
N1は、最初にできたがん(原発巣)と同じ側の気管支周囲や肺門または肺内リンパ節に転移があることです。
N2は、原発巣と同じ側の縦隔リンパ節または気管支が分かれる部位のリンパ節に転移があることです。
N3は、原発巣とは反対側の縦隔リンパ節や肺門リンパ節または鎖骨上のリンパ節、首の付け根にあるリンパ節に転移があることです。

肺の入り口や気管支周辺のリンパ節に転移があると、咳がでてくることがあります。
気管支前リンパ節に転移が起こると、上大静脈が圧迫されるので上半身のむくみや息切れ、頭痛、めまい、眠気などの上大静脈症候群があらわれることがあります。
左側の気管支リンパ節に転移が起こると、かすれ声が起こることがあります。

リンパ節転移があると、病期(ステージ)はII期(ステージ2)以上と判定されます。

リンパ節転移の検査

肺がんのリンパ節転移を調べるための画像検査には、CTやPET(ポジトロン断層撮影法)があります。
CTは、X線とコンピューターを用いて、体を輪切りにした断面像を撮影する検査です。PETは、がん細胞によく取り込まれる物質を体内に注入し、がん細胞が集まっている部位を探しだす検査です。

画像検査で転移が疑われるリンパ節を特定したら、その部位からがん細胞を採取するために気管支鏡検査、縦隔鏡検査、胸腔鏡検査などを行います。
これらの検査で採取した細胞や組織を用いて細胞診検査を行い、肺がんの組織型や病期(ステージ)を決定します。

リンパ節は他の部位と比べて転移を起こしやすいため、原発巣を手術で取り除くとき、同時に、所属リンパ節の切除(リンパ節郭清)も行うのが一般的です。リンパ節をどの程度切除するか(リンパ節郭清度)は原発巣の部位などによって決まります。
リンパ節転移を起こしていても、原発巣とともにリンパ節転移をすべて切除できれば、再発・転移の可能性を低下させることができます。