化学療法(抗がん剤)

抗がん剤治療と副作用:非小細胞肺がん、小細胞肺がん

非小細胞肺がんの化学療法

白金(プラチナ)製剤と他の抗がん剤を組み合わせて使います

手術ができないIIA/B期・IIIA期やIIIB/C期の非小細胞肺がんの一部では胸部への放射線治療と抗がん剤の併用療法(化学放射線療法)が治療の第一選択となります。IIIB/C期の一部とIV期では抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤を用いた薬物療法と緩和療法が治療の中心となります。
これらの抗がん剤治療には、白金(プラチナ)製剤と他の抗がん剤を組み合わせたプラチナ併用療法がおこなわれます。

決められたスケジュールで点滴します

プラチナ併用療法では、白金(プラチナ)製剤と他の抗がん剤を決められたスケジュールで点滴します。通常は3〜4週間を1サイクルとして4回繰り返します。

決められたスケジュールで点滴します

再発時には1〜2種類の抗がん剤を使います

1回目の化学療法で効果がみられなかったり、治療後に病気が悪化したときには、2回目の化学療法として1種類の抗がん剤を点滴で投与する治療が行われます。場合によって、2種類の抗がん剤を併用することもあります。

小細胞肺がんの化学療法

小細胞肺がんは非小細胞肺がんに比べ、抗がん剤による効果が得られやすいため、抗がん剤が治療の主体となります。早期であっても手術単独ではなく、化学療法(抗がん剤)を併用することが勧められています。

病期分類と治療法

限局型:手術+術後化学療法、化学療法+胸部放射線治療併用
進展型:化学療法単独、化学療法+免疫療法併用

臨床成績

  • ・進展型に比べて限局型では高い治療効果がみられることもあり、がんが縮小・消失した状態を長期間維持できる人もいます。
  • ・一般に通常の検査でわからないくらいになった小細胞肺がんの場合、その状態が2〜3年以上続くと再発の危険は減少します。

肺がんの種類と進行度によって変わる治療

化学療法で起きやすい副作用

副作用は使うお薬の種類によって異なり、個人差もあります

薬物治療(抗がん剤治療)による副作用の種類や頻度は、使うお薬の種類によって異なります。なお、よくみられる副作用としては、吐き気・嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢、便秘、全身倦怠感、末梢神経障害(手足のしびれ)、脱毛などがあります。自分で症状を感じられる副作用の他に、白血球減少、貧血、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、心機能障害、肺障害といった検査などでわかる副作用もあります。副作用の程度には個人差があり、まれに重い副作用で命にかかわることもあります。
こうした副作用のほとんどは一時的なもので、大部分は治療後2〜4週間で回復します。吐き気や嘔吐は薬を使った後の数日間を中心に起こります。脱毛と末梢神経障害は数カ月かかりますが、徐々に回復します。

注射やお薬を飲んで副作用の症状を和らげます

白血球が大きく減っている場合は、細菌などによる感染症にかかるリスクが高くなりますので、白血球増殖因子(G-CSF)と呼ばれる白血球を増やす薬を注射することがあります。
ひどい貧血が起こったり血小板が大きく減少したりしているときは輸血を行うこともあります。吐き気や嘔吐には吐き気止めの薬を使います。
脱毛や末梢神経障害に対する効果的な治療法は残念ながら今のところありません。

副作用の対処法と工夫

監修:日本医科大学 呼吸器内科
 臨床教授 笠原寿郎先生