肺がんの治療にかかる費用

肺がんにかかる医療費は、治療費(投薬料、注射料、手術料、その他の処置料など)、入院料、検査料、画像診断料などからなります。そのなかでも、大きな割合を占めるのが治療費です。

下記に、肺がんの種類別、ステージ別のおおまかな治療費を紹介します。
患者さんが実際に支払う額は保険適用前の金額の1〜3割で、加入している公的医療保険や年齢によって異なりますので、医療機関にご確認ください。
また、薬物療法は患者さんの身長や体重、症状などによって投与量や回数に変動があるため、実際に支払う額も患者さんによって異なります。

非小細胞肺がんの主な治療費

病期
(ステージ)
種類 回数/
期間
保険適用前
の金額
I期
(ステージ1)
開胸による肺切除術 1回 約120万円
胸腔鏡を使った肺切除術 1回 約90万円
定位放射線治療 1回 約60万円
手術後の薬物療法 1年間 約35万円
II期
(ステージ2)
手術(開胸、腹腔鏡) 1回 約120万円
手術後の薬物療法 1ヵ月 約3〜4万円
手術できない肺がんの放射線療法 約43万円
IIIA/ IIIB/期
(ステージ3A/3B)
手術(開胸、腹腔鏡) 1回 約120万円
手術後の薬物療法 1ヵ月 約33〜75万円
手術できない肺がんの放射線療法 約43万円
放射線療法+薬物療法(化学放射線療法)後、免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤) 約140万円
IV期
(ステージ4)
抗がん剤療法 最大6サイクル 約40〜200万円
分子標的薬 1ヵ月 約20〜180万円
免疫チェックポイント阻害薬 1ヵ月 約130万円

※分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬は病勢進行、死亡、副作用、患者さんの希望などで治療を中止するまで継続します。

小細胞肺がんの主な治療費

病期
(ステージ)
種類 回数/期間 保険適用前の金額
限局型
I期(ステージ1)
手術(開胸、腹腔鏡) 1回 約120万円
手術後の薬物療法 1ヵ月 約3万円
I期以外 化学放射線療法 約170万円
脳転移を予防する全脳照射 約18万円
薬物療法 最大4サイクル 約20万円
進展型 薬物療法 最大4サイクル 約20〜30万円

治療費の他に、入院料(1日あたり約3〜4万円)、画像検査料(約1〜8万円)、その他の検査料(遺伝子検査:約2万円など)などがかかります。治療費を含め、あらゆる費用の算定方法は病院によって異なります。

高額療養費制度

高額療養費制度は、医療費の自己負担が重くならないよう、同一の医療施設に1ヵ月間で支払った医療費のうち自己負担上限額を超えた分が後日払い戻される制度です。
自己負担上限額(高額療養費算定基準)の上限は、年齢と収入によって決まっています。

70歳未満の高額療養費算定基準

区分 金額
年収約1,160万円〜 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万〜約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万〜約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
〜年収約370万円 57,600円
住民税非課税者 35,400円

70歳以上の高額療養費算定基準(2018年8月以降)

区分 外来
(個人ごと)
ひと月の上限額
(世帯ごと)
現役並み
所得
年収約370万円〜 70歳未満の区分ア〜ウに準じる
一般所得 年収156万〜約370万円 18,000円 57,600円
住民税非課税等 II 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
I 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 15,000円

1人の自己負担額で上限に達しなくても、同じ医療保険に加入している同じ世帯の人と合計して上限額を超える場合は、申請できます。また、直近1年以内に高額療養費の給付を申請できる月が3回以上ある場合、4回目以降は自己負担上限額が引き下げられます。

この制度の対象となるのは公的医療保険の対象となっている治療法の医療費だけであり、先進医療(粒子線治療など)費や入院時の食事代や差額ベッド代などは対象となりません。

70歳以上の方の医療制度

70〜74歳の方には、加入している保険団体から高齢受給者証が交付されます。医療機関を受診するときに健康保険証と高齢受給者証を提示すると、医療費の自己負担が1割または2割になります。ただし、年収が現役並みの場合は3割負担のままです。

75歳以上になると、後期高齢者医療制度を利用することができます。
受診するときに加入する保険団体や市町村から交付された後期高齢者医療被保険者証を提示すると、医療費の自己負担が1割になります。ただし、年収が現役並みの場合は3割負担のままです。

国立がん研究センター:国立がん研究センターのがんとお金の本(小学館)
厚生労働省:高額療養制度を利用される皆さまへ