肺がん治療とCTLA-4の関係とは?

CTLA-4は免疫の力にブレーキをかけるとは?

肺がんの治療に使われる免疫チェックポイント阻害薬のひとつに CTLA-4阻害薬(抗 CTLA-4抗体)があり、名前のとおり、CTLA-4の機能を止める働きをもつ薬です。
CTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte Antigen-4)の正式名称は「細胞殺傷性 Tリンパ球抗原4」でありを意味し、がん細胞を攻撃する機能をもつ T細胞の活性化を抑えるタンパク質です。
T細胞は免疫細胞の主役ともいえる存在で、がん細胞独特のタンパク質(抗原提示細胞)の情報をキャッチすると活性化し、がん細胞を攻撃します。がんの治療には有用なしくみですが、もしこの細胞が暴走すると自分自身の体を攻撃しかねません。そこで、ヒトの免疫のシステムには免疫細胞の暴走を抑えるしくみも備わっており、「免疫チェックポイント」と呼ばれています。
CTLA-4は免疫チェックポイントのひとつで、T細胞の表面に発現し、抗原提示細胞からのがん細胞の情報が送られてきてもブロックして、T細胞の攻撃力を活性化させない、いわばブレーキとして働きます。がんは、普通の細胞の遺伝子が傷つくことで発生する、異常な細胞のかたまりです。傷のついた遺伝子(がん遺伝子)は本来の正しい機能を果たせなくなります。異常な機能を持つタンパク質をつくりだして勝手に細胞を増殖させたり(がん遺伝子の活性化)、逆に細胞増殖を止めるためのブレーキがかからなくなったり(がん抑制遺伝子の不活化)して、がん細胞を増殖させます。

CTLA-4阻害薬の開発

CTLA-4は1987年にフランスの研究者たちによって発見され、1996年には米国カリフォルニア大学のアリソン教授が、CTLA-4が T細胞によるがん細胞への攻撃を抑えていることを突き止めました。アリソン教授はこの研究の功績により2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

その後研究が進み、アリソン教授らによって CTLA-4の機能を抑えて免疫のブレーキを解除する「抗 CTLA-4抗体」が開発され、「CTLA-4阻害薬」として使われるようになりました。

肺がん治療と CTLA-4阻害薬

CTLA-4阻害薬は、2011年、初の免疫チェックポイント阻害薬として海外で承認されました。日本では2015年に皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬として承認され、2022年12月現在では腎細胞がんや結腸・直腸がん、食道がん、悪性胸膜中皮腫の治療に使われています。肺がん治療においては、2020年11月からⅣ期非小細胞肺がんの治療薬として用いられています。

肺がん治療と CTLA-4阻害薬

肺がんの免疫療法と免疫チェックポイント阻害薬:作用と副作用

監修:日本医科大学 呼吸器内科
 臨床教授 笠原寿郎先生