分子標的療法

EGFR阻害薬の働く仕組み

EGFR阻害薬はEGFRから出る信号に作用

EGFR遺伝子変異が認められる患者さんでは、非小細胞肺がんの治療薬の1つで、EGFRを治療標的としたEGFR阻害薬(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬:EGFR-TKI)という分子標的薬の効果が期待できます。
EGFR阻害薬は、EGFRのチロシンキナーゼ部位を特異的に阻害して、EGFRから細胞内へ、がん細胞が増殖するための信号が伝わることを遮断することで、がんが大きくなるのを抑える、または、がんを小さくすると考えられています。

EGFR阻害薬はEGFRから出る信号に作用

EGFR遺伝子変異が認められる非小細胞肺がんでは、EGFRのチロシンキナーゼの働きが常時ONになっており、がん細胞増殖の信号を遮断するEGFR阻害薬というお薬が効果を発揮しやすくなっています。 EGFR阻害薬による治療を受けるためには、がん細胞にEGFR遺伝子変異があることを確認する必要があります。そこで、非小細胞肺がんの患者さんには、性別、喫煙歴、がんの種類(腺がん・扁平上皮がん・大細胞がん)などにかかわらず、EGFR遺伝子変異検査が実施されるようになりました。

ステージ2~3A期の非小細胞肺がんでEGFR遺伝子検査陽性の患者さんには、術後補助療法後にEGFR阻害薬を使うことができるようになりました。3年間使用を続けることで、がんが小さくなる効果を上げることが期待されます。
術後に抗がん剤治療(化学療法)をおこなうことが難しい患者さんには、化学療法をおこなわず、EGFR阻害薬だけで治療することも検討されます。

EGFR阻害薬はEGFRから出る信号に作用

EGFR遺伝子変異が認められる非小細胞肺がんの患者さんにEGFR阻害薬を投与した場合、がんが小さくなることが期待できます。ただし、 EGFR遺伝子変異が認められる患者さんでも、EGFR阻害薬による効果が得られないこともあります。また、いったん効果が得られても、がん細胞がEGFR阻害薬に対して抵抗性を身につけてしまうため(獲得耐性)、次第に効果が減弱してしまいます。

EGFR遺伝子変異とがん細胞の増殖

EGFR遺伝子変異とがん細胞の増殖

がん細胞は自分自身が増殖することで大きくなり、病気を悪化させます。

EGFR阻害薬はEGFRから出る信号に作用

がん細胞の表面にはEGFR(上皮成長因子受容体)と呼ばれるタンパク質ががん細胞を増やす働きをしています。

EGFR阻害薬はがん細胞を直接攻撃するのではなく、EGFRの働きを阻害することで、がん細胞の増殖を抑える、または、がんを小さくすると考えられています。

参考:
・日本肺癌学会編:肺癌診療ガイドライン2024年版, 金原出版株式会社
・日本肺癌学会編:患者さんと家族のための肺がんガイドブック2024年WEB版

監修:日本医科大学 呼吸器・腫瘍内科学分野
 教授 笠原寿郎先生