治療の継続が大切

一口に「肺がんの克服」といっても、その意味は、肺がんのタイプやステージ、そして患者さん本人の捉え方によって異なります。「治癒」をイメージする方もいれば、「がんを抑え続けること」をイメージする方もいると思います。どちらにしても重要なのは、ご自身の肺がんに合った治療を継続することです。

「治癒」をイメージしていて、すでに手術や化学放射線療法を受けている方は、どうすれば肺がんの再発・転移を防ぐことができるのか医師に相談してみましょう。がんの状態によっては、薬剤を用いた術後補助療法や維持療法という治療を受けられることがあります。また、再発・転移があらわれていないかどうか、決められたスケジュールで検査を受け続けることも重要です。

「がんを抑え続けること」をイメージしている方は、ご自身の肺がんに有効な治療は何なのか医師と相談してみましょう。近年、肺がんの進行を長期間抑制できる薬剤が登場しています。ただし、すべての患者さんがそれらの薬剤によりがんを永久に抑え込めるわけではありません。最初は効果を発揮していた薬剤も、長期使用すると病気の細胞が薬に慣れてしまって効果が得られにくくなり、肺がんが進行してしまうことがあります。そのような場合は、また別の有効な薬剤によってがんを抑え込むことを目指します。
また、どのような治療法が自分にあっているのかを知るために、ご自身でも肺がんに関する情報を集めましょう。がん治療を行っている病院の多くでは、主治医以外の医療スタッフにも相談できる仕組みがあり、治療法についての情報を得ることができます。がん患者が集まる患者会に参加して、ほかの肺がん患者さんがどのような情報を参考にしているのか聞くことも役に立ちます。知識を身につけ、医師と良好なコミュニケーションをとることにより、ご自身が目指す治療を受けられる可能性が高まります。

知識を身につけるといっても、不確かな情報には注意が必要です。インターネットでは、医学的に正しい情報を提供しているウェブサイトだけでなく、誤った情報や、まだ有効性が証明されていない治療法の情報を誇張して提供しているウェブサイトも見受けられます。「●●でがんを克服」「有名人、芸能人のがん克服法」などとうたって特定の食品や物品、保険で認められていない治療法などを勧めているときは、信頼できる情報なのかどうか、医師や医療スタッフに相談してみましょう。

薬剤に対する「耐性」を克服して治療を継続する

最初は効果を発揮していた薬剤が、長期利用すると病気の細胞が薬に慣れてしまって効果が得られにくくなることを耐性といいます。がんの研究者のなかには、この耐性を克服することを重要と考え、新しい薬剤の研究に取り組んでいる人たちがいます。耐性を克服することができれば、有効な薬物療法を受け続けることができ、がんを抑え続けることにつながるからです。

具体的には、上皮成長因子受容体(EGFR)変異やALK融合遺伝子陽性の肺がんの患者さんに対する薬物治療では、最初に使用した薬剤が次第に耐性を生じることがありますが、その耐性にも対応できる薬剤が開発され、別の有効な治療を継続できることがあります。今でも耐性に関する研究は継続して進められています。

治療の継続のために日常生活で心がけたいこと

バランスの良い食事と適切な運動で心身を良い状態に保つことは、治療を継続するために、すべての患者さんに共通して大切なことです。

治療中の食事の基本は、朝、昼、夕の三食ともタンパク質、野菜、炭水化物をバランス良く取り入れた食事を適量取ることです。とはいえ、がん治療中は副作用によって食欲が低下していたり、口内炎や悪心・嘔吐のために食事を取れなかったりすることがあるかもしれません。また、薬物療法中には副作用として味覚障害が起きてしまい、食事をおいしく感じられないことがあるかもしれません。そういう場合には、無理に食べる必要はなく、食べられる量を食べたいときに取るようにしましょう。副作用の症状に合った味付けや温度にし、食材を細かく刻む、舌で押しつぶせるほどやわらかくするなどの工夫を凝らすと、調子の悪い時でも食べやすくなります。

治療中の食事の工夫については、栄養士や看護師に相談してみましょう。