肺がんとともに生きる人は世界中にいます。海の向こうから届いたメッセージを、あなたへ。

エミリーさん(現在、疾患の徴候なし)

エミリーさんは、28歳のときにステージIVの非小細胞腺がんと診断されました。
2013年にがん治療が終了し、現在にわたりがんの徴候がない状態を維持しています。彼女は、アウトドアや旅行を楽しみながら、南カリフォルニアで夫と2匹の犬とともに暮らしています。

  • 本記事は、米国在住の患者さん個人の経験や考え方、意見などを紹介しています。そのため、読者の皆様の状況とは異なる場合や、これらの考え方があてはまらない場合、さらに日本の国内事情と異なる記載も含まれていることにご注意ください。

エミリーさんがこれまでに経験した、がんとの歩み感情友人と家族健康と運動食事と栄養旅行仕事エミリーさんの視点についてご紹介します。

エミリーさんのがんとの歩み

  • 2012年にステージIVの非小細胞肺がんと診断される
  • 2013年2月に化学療法、胸膜肺全摘出術(EPP)および術後の放射線療法を受ける
  • 現在、NED(疾患の徴候なし)

肺がんと診断されてから、それほど時間は経過していませんが、診断当初に生検を2回行い、遺伝子検査用に必要な組織検体を送ることになりました。

その間に、私はすべてを受け入れました。化学療法を開始するときには、気持ちの準備を整えることができました。むしろ化学療法で体内のがん細胞と戦い、一掃したいと思うようになりました。がんと対峙する覚悟ができたわけです。


不妊治療

診断からがん治療が開始されるまでに不妊治療を行うことができました。実際にはあまり知られていないことですが、このような不妊への対応はとても重要なことだと考えています。

特に、将来妊娠を希望する若い女性の場合には、可能な限り妊娠できる状態を保持するよう助言しなければならないと思います。私の場合、幸運なことに周りの知人から助言をもらうことができました。こうした知人からの助言にとても感謝しています。


瞑想

当初、セラピストによる瞑想を始めたとき、風変わりな感じを受けましたが、次第に効果が現れてきたようです。

今では毎朝、起床後に5分間の瞑想をして、自分の体に対する願い事を頭に浮かべます。がん細胞だけを見極めて退治しよう、または増殖しないでと願います。さらに将来、子供が授かることをイメージして家族に関する瞑想も数分行うようにしています。このような瞑想などは何か感じるものがあります。日々の瞑想により精神面から何か変化が生まれ、実際には精神面だけでなく、身体面にも役立つ効果が現れると信じています。

満足するまで十分な情報を入手することを忘れてはいけません。たとえ3人の医師が、それぞれ異なる見解を示しても、3つの異なる意見を得たことに過ぎません。あなたがベストだと思う意見を選び、前に進むべきです。第二、第三の意見、たとえ第六の意見であっても想像以上に貴重であり、患者として常にさまざまな意見を聞くべきです。

感情

28歳という年齢で、肺がんであるという事実を直視したとき、もう周りの小さな事柄は、すべてよし、と受け入れる気持ちが生まれました。気持ちの中で、これまでよりも何が大切なのかということを重視するようになりました。いつも前向きな性格でしたが、このような気持ちが生まれてからは、さらに前向きになりました。私は、これからもいろいろなことを経験し、与えられた人生を楽しみたいと考えています。

友人と家族

いろいろな人との関係が変化しましたが、私の場合、ほぼすべての関係が良い方向に進みました。

すべての友人や家族との関係は、より強くなりました。皆さんが、それぞれの考えでお互いの関係を築いていますから、ある友人は離れたところから手を差し伸べ、また別の友人は「何かお役に立てることはありますか」と直接訪ねてきてくれました。いずれの形でも本当に助かりました。

がんと診断された後に、本当の友人が誰であるのか判明すると多くの人から聞かされていましたが、私の友人たちは、想像していた本当の友人を超えて、真の友人であることがわかりました。

がんを通して友人や家族が広めてくれたサポートの輪に本当に感謝しています。がんになる前は気付きませんでしたが、周りの友人や家族がまとまり、愛情のあるサポートをしてくれます。本当に心から感謝しています。

健康と運動

普段のエクササイズとして、ウォーキングをしています。今は、ピラティスもしています。このようなエクササイズは、手術と放射線療法後の休養期間で失った筋肉や運動機能の回復に非常に役立ちました。

いろいろな考え方はあるかと思いますが、私にとってはエクササイズを利用して、戦う体形に戻すということがとても重要でした。再び強さを感じたい、できる限り強い体を作りたいと思いました。しかしながら、残された片方の肺だけでは、ゆっくりと運動し負荷も徐々に大きくする必要がありました。それでも驚くほど運動機能は回復しました。残された片方の肺を拡張させ、さらなる運動を可能にするには心機能も重要です。はじめのうちは辛い運動でしたが、徐々にできるようになりました。

私は3マイル(約5キロメートル)を歩き抜いた日をはっきりと覚えています。辛うじて近所を一周するだけの前年から、どれだけの成果があったであろうかと思い起こすと、その回復に驚いてしまいます。精神的にも、これまでの努力の道のりを思い返す時間は非常に大切です。

今では、片方の肺だけで体を動かすことができる驚きもありがたみも忘れてしまうほど当たり前のように運動しています。

  • 本記事は、米国在住の患者さん個人の経験や考え方、意見などを紹介しています。そのため、読者の皆様の状況とは異なる場合や、これらの考え方があてはまらない場合、さらに日本の国内事情と異なる記載も含まれていることにご注意ください。

エミリーさんが考える有用なこと

ピラティスは、手術後の筋肉や運動機能の回復に非常に役立つ


  • 運動は主治医の指示のもとで、体調に気をつけて行ってください。

食事と栄養

できる範囲で食事や栄養の管理に努めています。家では常に有機食品を食べるよう心掛けていますが、外食するときは、栄養管理のことを忘れて食事を楽しむようにしています。

旅行

日頃から、免疫機能が後退していることは十分に認識しているため、何かの感染には注意する必要があります。例えば、飛行機を利用する際など、少し注意を払う必要があり、持参した滅菌ティッシュで、座席のシート、シートベルト、テーブルトレイなどを拭きます。また旅行中はスカーフも携帯し、飛行機の中では鼻と口に巻いています。

昨年、私たちはカンクンに行きましたが、現地ではアクティビティを申し込むことができませんでした。いずれのアクティビティも参加することは困難だったのです。

しかし、今年再びカンクンを訪れたときには、驚くほど体力が回復していました。約10階分の高さがある遺跡を登って、大きな達成感を味わうことができました。特に手術の後は、昨年訪れた場所や2年前に訪れた場所を同じ時期に再び旅行して、体力の回復を感じることが旅行の醍醐味となっています。

いずれも小さな達成に過ぎませんが、その一つ一つを祝いたいのです。治療中も、どんなことでも喜びを持って取り組みました。私は、患者として治療を受ける上で、このような考え方や姿勢が大切だと思います。

私の最も大きな教訓は、すべてのことができなくてもよいと受け入れることです。夫も私の体調管理を最優先に考えてくれています。時々、洗濯や家事、他の用事ができないことがありますが、健康を第一に考え、すべてのことができなくてもよいと考えることができれば、自分自身のあるべき姿が見えてくるようになると思います。

仕事

私は以前、金融関係の仕事に就いていましたが、今は患者団体の広報担当と患者支援活動をしています。

私が、がんの診断と治療を受けたとき、複数の方から私の世界観を変えるほどの貴重な助言や大きな支援を得ることができました。私も誰かの役に立つのなら、同じように支援できる人になりたいと思いました。以前と同じ職種に戻る必要性は感じてはいません。がんの診断を受けてからは、私と同じ状況にいる人の役に立つべきだと思うようになりました。これは当初から譲ることができない信念です。

自分の自由な時間は、健康のことを最優先に考えながら好きなことをやりたいように過ごしています。手術後の約1年間の休養中に、患者団体から電話で広報担当にならないかと打診がありました。私は仕事に復帰する決意とともに、その広報担当として再び働き始めました。

治療の開始が迫っている患者さんや肺がんと診断されたばかりの患者さんから相談を受けた場合、まずは自分自身のことだけを考えるように促します。好きなように自分自身のことや治療のことだけを考えるように助言します。最善の効果が得られる治療にしなければなりません。そして、その治療が完了し、がんから解放されたときには、他の人を助けることに尽力すれば良いのです。他の患者さんを無視するわけではありません。とにかく今は、すべてのエネルギーを自分自身の治療と健康に注ぐように促します。

睡眠も重要です。患者さんのために活動しながら、自分のことも大切にして、可能な範囲で休養するよう心掛けています。

まずは自分自身のことに集中するべきであると考えています。他人のことを考える余裕が生まれたら、しっかりと時間を使ってお返しすれば良いのです。とにかくはじめは、自分自身のことに集中するべきです。

エミリーさんの視点

あなたを支えてくれる良いチームを作りましょう。満足できない状態をそのままに放置してはいけません。