大阪はびきの医療センター肺腫瘍内科の平島先生に肺がん患者さんに対して病院が行っている取り組みについて講演をしていただきました。

講演:大阪はびきの医療センター 肺腫瘍内科 主任部長 平島 智徳先生
講演
大阪はびきの医療センター 肺腫瘍内科 主任部長
平島 智徳先生

チーム医療について

私が「チーム医療」の大切さを意識するようになったきっかけは、2006年にがん薬物療法専門医の認定資格を取ったことでした。同じ専門医の医師たちがチーム医療について熱く語るので、見よう見まねで、看護師さん、薬剤師さんなどと集まる機会を持ちました。 実際に集まって話をしてみると、当然のことですが薬剤師さんは薬について非常に詳しいですし、看護師さんは患者さんやご家族のことをよく理解して寄り添っている。彼らの存在があるから、私たち医師と患者さんのコミュニケーションが成り立っていたのだとわかりました。

現在、大阪はびきの医療センターでは、チーム医療を円滑に進めるために看護師さんたちが熱心に患者さんのための治療について考えてくれています。また、2014年から「がん看護専門外来」がスタートしました。私たち医師の外来診察は5~10分しか時間をとれませんが、看護外来では時間をかけて患者さんの悩み、不安、疑問を聞き取り、チームに情報提供してくれます。抗がん剤の副作用も丁寧にチェックしてくれます。

チームで働く際に大切なのは、傾聴力と意見の違いや立場の違いを理解する柔軟性だそうです。世の中には私も含めて、チームで働くのが苦手な人も多いと思いますが、チームだからこそ発揮できる力を知ると、苦手などといわずに積極的に取り組むべきだと感じます。これから続々と登場が期待される新しい治療法に挑戦するためにも、チーム医療は大切な基盤になっていくと考えています。

平島先生と同じ病院、同じ科に勤務する岡田由佳理看護師から、「がん看護専門外来」の支援内容と、がん医療における看護師の役割についてお話しいただきました。

講演:大阪はびきの医療センター 肺腫瘍内科 緩和ケア認定看護師 岡田 由佳理 看護師
講演
大阪はびきの医療センター 肺腫瘍内科 緩和ケア認定看護師
岡田 由佳理 看護師

患者を支える看護師の役割

患者さんとご家族が抱える不安

最近のがん治療では、様々な新薬の登場で患者さんが外来で抗がん剤などの化学療法を受けることが増えてきましたが、新薬にかかる医療費の負担が心配です。また患者さん自らが、医師の説明を理解したうえで意思決定する場面も多くなりました。このように現代のがん患者さんとご家族は、様々な悩み、不安を抱えています。しかし、「いつ、誰に、どのように相談したら良いかわからない」と感じて、相談できずにいる患者さん、ご家族も多いと思います。
そこで、当院では2014年12月に「がん看護専門外来」をスタートしました。

がん看護専門外来

スタート時は週2回でしたが、現在は週4回に増えました。

がん看護専門外来での支援

がん看護専門外来では、患者さん、ご家族の悩みのすべてに向き合います。
まず重要なのは、抗がん剤の副作用の管理です。たとえば副作用として発疹が出る場合、ご自分で薬を塗ってケアをしていただきますが、がん看護専門外来では、状態の確認やケアの指導を行います。悪化しているときは主治医に報告し、必要があれば皮膚科受診の手配をします。
がん治療は副作用との闘いでもあります。下痢、食欲不振、呼吸が苦しい、咳が出る、熱がある、眠れないなど細かく確認させていただいて、医師、薬剤師、栄養士などの助言も得ながら対応します。
また、医療費や仕事など生活の不安には、医療ソーシャルワーカーと連携して高額療養費制度などをご紹介したり、心理的な支援が必要な場合は心理療法士や必要に応じて精神科の医師につなぐこともあります。

患者さんの揺れる心に寄り添う

がん治療では、患者さんが意思決定を求められる場面があります。そうした場面で、医師の説明を正しく理解できているか確認するとともに、患者さんの意思や価値観をじっくりと伺って、その方らしい意思決定ができるようにサポートしています。
私たちは、患者さんの気持ちの揺れをそのまま受け止めることを心掛けています。一度は決断しても、また迷いが出るのは自然なこと。決意をひるがえしたとしても何ら問題はありません。
また、病棟看護師と連携して、入院から外来、外来から入院へと移るときにサポートが途切れない体制をつくっています。
ご家族が抱える不安や疑問にお答えするのも重要な役目だと考えています。日々の食事や介護で工夫できることをアドバイスしたり、患者さんとどう接するべきかという悩みをじっくりと聞くこともできます。

常に患者さんとご家族の側に

どんな小さな疑問も汲み取って解決を目指し、患者さんの意思を、悩みや揺れも含めて尊重し支えるのが看護師の役目です。いつでも患者さんとご家族の側に立って、医師や薬剤師などに患者さんの思いを伝えます。
がん医療が大きく進歩して、多くの病院でチーム医療に取り組み始めています。患者さんの側にいる看護師の他にも、医師はもちろん、がん医療を担う専門スタッフがいます。チームで連携して患者さんとご家族を支えていますので、どうか遠慮なく頼ってください。