ディスカッション

これまでの講演を聞いて、様々な立場からの考えや思いを知ることができました。最後は来場者から事前にいただいていた質問に対して、来場者と講演者でディスカッションが実施されました。来場者は質問に対してアンサーパッドでYes、Noを答え、ディスカッションは盛り上がりました。

《司会》大西:患者と家族のコミュニケーションで苦労もあると聞きます。
患者と家族が一緒にテレビを見ていて、がんで亡くなられた方の話題が出ると、家族は番組を変えたほうがいいか迷うときがあるという話を聞き、私もがん患者なので、「自分の家族も同じような気持ちだったのかな」と考えたことがあります。
このように、ささいなことでも患者・家族間での認識の違いはあるのかもしれません。

質問:
患者・家族間で「認識の違い」を感じることがある?
Yesが多い

Yesが多い

質問:
Yesの方に質問 認識の違いがあった場合、その違いをすり合わせている?
Noが少し多い(6割程度)

Noが少し多い(6割程度)

《司会》大西:平島先生、診察をしていてご家族の認識の違いってわかるものですか?

《医師》平島:診察中にご家族同士でもめることはほとんどないので、後で看護師からの報告を聞いて驚くことがときどきあります。違う意見があるなら、その場で言っていただけるほうが医師として介入しやすいのですが、難しいですね。

《司会》大西:ご家族で意見が違うという相談があった場合、どんな対処をされますか。

《看護師》岡田:奥さまの「頑張って食べて元気になって」という励ましに応えて食べているけれど、正直なところ(無理して食べるのは)辛いと言われた患者さんがいらっしゃいました。お互いに相手のことを思いやっているから本音を言えなかったのです。看護師が双方の気持ちを伺って、代弁者として伝えました。

《医師》渡邊:家族は「第二の患者」といわれ、患者さんと同じように、場合によっては患者さん以上に困っていらっしゃることもあります。
ご家族から医師や看護師に相談する場を設けても良いと思います。

質問:
治療のなかで大切にしていることがある?

Yesが多い

質問:
治療のなかで大切にしていることを、お互い話し合っている?
Yesが少し多い(6割程度)

Yesが少し多い(6割程度)

《患者》三宅:私は、病気になってから家族と一緒の時間を大切にするようになりました。以前は夫と喧嘩が多かったのですが、喧嘩しなくなりましたね。いろいろと支えてくれて感謝しています。

《医師》平島:高齢の患者さんから「これ以上の抗がん剤治療を受けたくない」という申し出を受けたことがあります。ずっと仕事ばかりしてきたので、奥さまのために「旅行に行ってのんびりと過ごしたい」というのがその理由でした。がんの進行もゆっくりでしたので、何度か意思を確認して、ご本人の意思を尊重しました。治療よりも家族と過ごす時間を大切にするという選択もあるのですね。

《司会》大西:岡田さん、一次治療から治療を重ねていくうちに、患者さんにとっての大切なことが変わっていくことはありますか?

《看護師》岡田:難しい質問ですね。いろいろな治療を受けるうちに気持ちが変化する患者さんは少なくありません。「はじめは家族のために頑張ろうと思っていたけれど、今は、家族の負担にならないようにやっていきたいと思っている」と言われた患者さんがいました。いろいろな思いがあり、受け入れるのが難しいこともあって、それを乗り越えての重い言葉だと思います。

質問:
がんになると友人知人が、よかれと思っていろいろな薬や療法を勧めてきます。そのなかには正確でない情報や、本当はやってはいけないようなことがあるかもしれません。勧める本人にとっては善意でも、患者さんやご家族にとって苦しめることになりかねないアドバイスを、“優しい虐待”といって声を掛ける方に注意が必要といわれてきています。 皆さんは、“優しい虐待”を受けたことがある?
Noが少し多い(6割程度)

Noが少し多い(6割程度)

《医師》平島:善意のアドバイスなので、むげに断るのは難しいですね。
医師の立場から言うと、いわゆる民間医療などは、効果を含め未知の部分があり、治療に影響があるかもしれないので、始めるかどうか考えるときにご相談いただければと思います。

質問:
がん看護専門外来という言葉を聞いたことがある?
Noが多い

Noが多い

《看護師》岡田:すべての病院にがん看護専門外来があるわけではありません。がん相談支援センターが相談の窓口になっている病院も多く、そこで専門看護師が対応していると思います。
外来と病棟で継続してケアができるようにという考えで始まった看護師外来ですので、これから他の病院でも増えてくるのではないかと思っています。

最後にひとことずつ

《患者》三宅

《患者》三宅:がんになった頃は、私だけがんになってとても不幸だと思っていました。
でも今日のような会に出るようになり、家族の立場で語る米澤さんのような方とも知り合って、私だけが不幸なのではないし、みんないろいろな思いを抱えて頑張っているのだと知ることができました。
ご来場のみなさん、少しでも今日のお話を参考にしていただいて、思いやりをもって楽しく生きていきましょう。

《患者》三宅

《家族》米澤:踏み込んだ話はしづらいという家族の方が多いです。触れないという優しさもありますが、あえて踏み込むという優しさの形もあると思っています。闘病中の方、ご家族の方、お互いに支え合って、お互いに甘え合って、寄り添いながら頑張っていただけたらと思います。

《家族》米澤
《家族》米澤
《看護師》岡田

《看護師》岡田:私自身も患者さん、ご家族のお話を聞いて勉強になりました。どうしても患者さんに目がいってしまいがちなのですが、ご家族に対するケアも重要だと再認識しました。

《看護師》岡田

《医師》平島:患者さんの気持ち、ご家族の気持ちには複雑な面があって、私たちもそれをよく受け止めなくてはいけないという思いを強くしました。新しい治療法は理解するのが難しいですが、患者会などで上手に情報を共有してもらえたらと思います。そして、医師には相談できなくても、患者さんの一番近くで頑張っている看護師に、思っていることを伝えてください。私も傾聴力を高められるように努力します。

《医師》平島
《医師》平島
《医師》渡邊

《医師》渡邊:コミュニケーションにはいろいろな形があると思いますが、やはり声に出して、言葉にして伝えることが大切だと感じました。また、がんと診断されたときに新しいこと、今までと違うことに挑戦するのは難しいですから、普段からよく話をしておくことが大切ではないかなと思います。
医療者のなかにもコミュニケーションが得意でないことがあるかもしれませんし、言葉にして言っていただくことではじめて伝わることもあります。どうか、困っていることがあれば、患者さん、ご家族の方から遠慮なくお話ししてください。

《医師》渡邊

《司会》大西:今日は盛りだくさんの内容でしたが、何かひとつでもお持ち帰りいただければと思います。 みなさん、ありがとうございました。

《司会》大西
《司会》大西