
2019年11月2日(土)に大阪にて市民公開講座が開催されました。この市民公開講座では、肺がんの患者さん・ご家族を対象に、治療選択の考え方、正しい情報の探し方、がん相談支援センターの活用方法、主治医とのコミュニケーションのコツなどを、医療者や専門家の話を聞いて、みんなで考え、そして学ぶ講座です。
今回は、肺がんの診療と研究に携わる医師、がん相談支援センターの相談員、元NHKアナウンサーの3名に講演をしていただきました。
さらに、後半のディスカッションでは、3名の講演者に、患者会の理事、患者さんや患者さんのご家族も加わって、来場者からの質問について議論しました。
肺がん治療の現状 ~情報に振り回されないために~
抗がん剤治療は21世紀になって登場した分子標的薬によって大きく変化しました。がん細胞のタイプをドライバー遺伝子などから特定して、その人に効く薬を選ぶことができるようになっています。
遺伝子検査からゲノム医療の活用へと進歩が目覚ましい肺がん治療について、そして、ネットや世間にあふれる情報から信頼できる情報の見分け方についてもお話いただきました。
がん相談支援センターの役割
がんの治療法がどれほど進化しても、患者さんとご家族が大きな不安を抱えることに変わりはありません。がん相談支援センターでは、専門的な訓練を受けた看護師やソーシャルワーカーが患者さんの不安に寄り添い、選択や決断のお手伝いをしています。相談事例や活用方法について教えていただきました。
主治医とうまく話すコツ
「主治医の説明が理解できない」、「気持ちをうまく伝えられない」という患者さんは少なくありません。主治医に不信感を持ってしまうと、治療にも影響が及びます。コミュニケーションのプロから、主治医とうまく話をするコツをご紹介いただきました。
ディスカッション
来場者から事前に集めた質問について登壇者に答えていただきました。治療選択や検査のタイミングについて、セカンドオピニオンについて、患者さんや本人の気持ちの保ち方について、専門知識や経験を踏まえた回答を全員で共有しました。
■プロフィール
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医《医師》
中川 和彦 先生
近畿大学医学部内科学
腫瘍内科部門 主任教授
専門は肺がんを対象とした抗がん剤や分子標的薬治療の研究。がん患者の緩和医療、患者・家族とのコミュニケーションを促進することによる全人的な診療の実現をめざし、メディアへの出演・執筆、講演などにも積極的に取り組む。
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医《医師》
池山 晴人 氏
大阪国際がんセンター
がん相談支援センター
副センター長
社会福祉士、精神保健福祉士として様々な病院・診療所に勤務、患者・家族の相談支援に取り組んでいる。相談員のひとりとして患者・家族に寄り添いながら、並行してがん専門相談員を対象とした研修の企画・運営などにも取り組んでいる。
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松本 和也 氏
(株)マツモトメソッド
代表取締役
/元NHKアナウンサー
1991年、NHKにアナウンサーとして入局。「紅白歌合戦」総合司会(2007、2008年)、「英語でしゃべらナイト」「NHKのど自慢」の司会、ドキュメンタリーやドラマのナレーションなどで活躍。2016年に退職し、(株)マツモトメソッドを設立。ビジネスリーダー向けに「話し方」「伝えるノウハウ」の指導を手がける。
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会《患者会》
田中 勇 氏
肺がん患者会
「ライオンハート岡山」代表
2010年、進展型小細胞肺がんと告知され、半年間の治療を経て寛解。がんになった人が集い夢と希望を持てる場所が必要だと考え、2017年に「街なかがんサロン」を兼ねた「ブックカフェ栞日」を開業した。このカフェを事務局として肺がん患者会「ライオンハート岡山」の代表を務める。
肺がんとともに生きる>仲間と出会う>ようこそ患者会へ -
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会《患者会》
長谷川 一男 氏
NPO法人
肺がん患者の会「ワンステップ」
理事長
2010年、肺がんステージIVの診断を受け、2012年に右肺全摘、2015年に腹部などに転移が発覚。同年4月、肺がん患者の会「ワンステップ」を設立し、さらに、全国の肺がん患者会で構成する「日本肺がん患者連絡会」を結成して代表を務める。2016年、世界肺癌学会の「ペイシェント・アドボカシー・アワード」を受賞。