講演:大阪国際がんセンター がん相談支援センター 副センター長 池山晴人氏
講演
大阪国際がんセンター がん相談支援センター 副センター長
池山晴人氏

がん相談支援センターってどんなところ? がん相談支援センターとは

大阪国際がんセンターの中にあるがん相談支援センターが私の勤務先です。スタッフは看護師とソーシャルワーカー計8名で、プライバシーを守ることができる面談室で相談者の思いに寄り添い、お話を聞いています。
先ほども信頼性の高い情報を入手することが重要との話がありましたが、科学的根拠のある情報を提供するのも私たちの役目です。センターには標準治療について書かれたガイドラインなどを揃えていて、貸し出すこともできます。
大阪府下には「がん診療拠点病院」に指定された病院が64施設あり、がん相談支援センターがあります。相談は無料で、誰でも可能ですので、一度、ドアをノックしてみてください。

図 大阪国際がんセンター がん相談支援センター

(図 大阪国際がんセンター がん相談支援センター)

悩みも人それぞれ。悩んでいる状態でセンターに来ても大丈夫

現在、日本では、毎年100万人ががんと診断され、がん全体の5年生存率は6割を超え、10年生存率という言葉も使われ、多くの人が「がんと共生する時代」になりました。厚生労働省の「がん対策推進基本計画」の分野別施策にも「がん予防」「がん医療の充実」と並んで「がんとの共生」があげられています。
がんと共生していくために、当センターに寄せられる相談はさまざまです。
診断のショックやなぜ自分ががんになってしまったのかという戸惑い、健康管理に対する後悔、これからの治療費に関する不安など、悩みは人それぞれ違います。そんながんにまつわる悩みは、まずは私たちに話してみてください。頭が混乱してうまく話せない状態でも大丈夫です。みなさんと一緒に考えて、状況を整理していくお手伝いをします。
また、治療をおこなう病院探しでは、遠方の有名病院だけでなく通院治療が容易な近隣の病院を選択肢に入れるアドバイスをしたり、納得した治療選択をするための情報を一緒に集めたりします。
さらに、治療に専念するため「仕事を辞める」決断をする患者さんも多いですが、治療と仕事を両立しながら生活を続けることも大切です。生活や地域社会で受けられるケアやサポートなどを紹介しながら、「大切な決断は急がないほうがよい」とアドバイスしています。

治療の転換期を迎えて選択をせまられても、自分のペースで選択・決断を

がんの治療中には、何度も決断を迫られます。
再発したり、副作用が強く治療の中断が必要になったりと、気持ちが落ち込んだり、体調が優れない場面で、選択を迫られることもあります。考える体力や余裕がない時には、その人に合ったやり方で、患者さんのペースで決めていけるようサポートしています。
また、ご家族も「第二の患者」と言われ、患者さんご本人より多くの悩みを抱えこむことがあります。
一番つらいのは本人だからと、無理をして元気に振る舞うご家族も多いため、私たちは、患者さんの相談を受けながら、ご家族の様子も気に掛けるようにしています。

3つの「はなす」を意識して

私たちが患者さんやご家族のお手伝いをする時に、3つの「はなす(話す、離す、放す)」を意識しています。
・「話す」
がん相談支援センターのスタッフに思いを話す。治療方法や生活について患者さんとご家族がじっくりと話す。主治医の先生や担当の看護師さんと話す。想いを言葉にして話をするのは、とても大切なことです。
・「離す」
がんと診断されると、ほとんどの患者さん・ご家族はインターネットで情報を検索します。残念ながら、その情報は玉石混交です。不安が募ると視野も狭くなり、間違った情報に吸い寄せられます。少し冷静になり「離れた」ところから情報を吟味してください。情報収集には、主治医や私たち相談センターなど身近な専門家を活用してください。ウェブサイトで検索する場合には、まず国立がん研究センターの「がん情報サービス」というサイトをお奨めします。
・「放す」
これは悩みを手放すということです。がん相談支援センターのスタッフ、患者会の仲間などと話して、不安な気持ちから自分を「解き放し」ましょう。

「不安」と「恐怖」は似ていますが違います

恐れの気持ちには、「不安」と「恐怖」の2つがあります。不安とは、「おそれ」の対象がわからないもの、恐怖とは、「おそれ」の対象がわかっているときの気持ちです。身体や心により強い悪影響を与えるのは「不安」のほうです。
がんの告知直後に襲われるのは先が見えない「不安」です。主治医の先生や、看護師、ソーシャルワーカーなどと話をして治療や仕事、これからの生活のことを具体的に整理すると不安は小さくなります。怖いという思いが消えるわけではありませんが、「恐怖」に対しては立ち向かう心構えができます。

がんを正しく知って、正しく恐れる

残念ながら、まだ人類はがんを克服できておらず、がんはおそれの対象であると思います。
ですが、がんに関して正しい情報を知ることは、がんに立ち向かう強い力になります。がんを正しく知って、がんを正しく恐れ、がんとともに生きるために、私たちをぜひ利用してください。