病状や治療内容によっては、食事に関して主治医の判断が必要な場合があります。
適切な食事・栄養については、主治医とよく相談してください。

「食事のバランス」というと、一般的にも「大切」というイメージがありますが、肺がん患者さんにとっては、より大切な意味があるようです。その意義と、バランスをとるためのコツについて、詳しくご紹介します。

川口美喜子先生
食事量が落ちても食事の回数は減らさず、
少しでも食べられる工夫をしていくことが大切です。

監修:川口美喜子先生
大妻女子大学・大妻女子短期大学部 家政学部 食物学科 教授。管理栄養士(医学博士)。著書に「がん専任栄養士が患者さんの声を聞いてつくった73の食事レシピ」(医学書院)。

栄養はできるだけ、“口から”

治療中の栄養摂取において、食事は最も大切な要素です。できる限り口から食事を食べるという価値観・習慣を大切にし「食べたい」気持ちを維持することが、治療に取り組む意欲になりますし、QOLの向上にもつながります。「食」に向かうときにもっておきたい心構えについて、ご紹介します。

まず、これまで当たり前にできていた毎日の食生活のリズムと食習慣は、診断された後に食事量や内容が変化しても、ほぼ同じように継続しましょう。3食を2食で済ませたり、食事時間が大幅にずれたりすると、これまでの生活習慣を保てません。

また、主食が取れない、肉魚や卵大豆製品のおかずの量が極端に減少する、といったことがあると、体力、筋力が低下していきます。毎日3食の食事に向かうことを基本にしてください。食事量が落ちても食事の回数は減らさず、少しでも食べられる工夫をしていくことが大切です。

栄養はできるだけ、“口から”

食事は“バランス”を基準に考える

食事の基本は、「食事バランス」という視点で考えます。具体的には、1日の食事の中で「主食・主菜・副菜・果物・乳製品」を少なくとも一度ずつは食べることが大切ですが、日常的に心がけることは難しいかもしれません。

以下の写真に示すように、バランスのよい食事を目に見えるかたちにしておくのもアイデアです。買い物をするときにバランスマットのことを思い浮かべるだけでも効果があります。栄養を偏らせないためには、「いろいろな食品を食べる」ということも大切ですね。

バランスのよい食事がひと目でわかる、「食事バランスマット」

バランスのよい食事がひと目でわかる、「食事バランスマット」

「バランス皿」

「バランス皿」

「バランスプレート」

「バランスプレート」

食事は“バランス”を基準に考える

患者さんやそのご家族へのメッセージ
〜管理栄養士として〜

治療における食事の目的は、治療を完遂するための免疫力を上げ、体力をつけること、筋力を維持するために十分な栄養を摂取することです。副作用などによって食事が困難となり、体力や免疫力の低下が著しい場合には、治療内容が変更されたり、治療の効果が得にくくなったりすることもあります。

全ての肺がん患者さんが、目標とする治療を予定どおりに完遂できる体力を保ち、身の回りのこと、仕事内容、家族との時間など日常生活の質をこれまで通りに保つことができればと願います。
私もがん患者さんに接する管理栄養士の一人として、少しでもその手助けとなるような食事を提案していきたいと考えます。

食事は日常の毎日のことです。きちんと食べられているか、週に1度は体重を測り、減っている場合には食事の内容と量を振り返るようにしましょう。

主食の量や回数が減った、間食をしなくなった、同じおかずを食べるようになったなど、体重や体力が落ちた原因を自分で見つけるようにすることが大切です。そして、食べられる量や嗜好など、ご自身に合った、無理なく続けられる食習慣を見つけ出してください。


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