家族の中の誰かががんになると、周りの人にも思わぬ変化と負担が生じます。家族が知っておきたい、物理的/心理的・身体的変化とその対処法についてご紹介します。

松本陽子さん

松本陽子さん
NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会 理事長。誰もが安心してがん医療を受けられる社会を目指し、ピアサポート活動を行っている。

【物理的な変化】
生活パターンが大きく変化する

家族が肺がんになって真っ先に直面するのは、病院への付き添いや送り迎えなどが生じることによる、生活パターンの変化です。特に患者さんが50代より上の世代だと、治療を受ける前の検査の段階から付き添いが必要なケースもあります。また、患者さんを気遣って音を立てないようにと掃除や洗濯などのタイミングを変えなくてはならなくなった、というお話もよく聞きます。
生活パターンが大きく変化する可能性があることを、知っておいてください。

食生活に過度に気を遣ってしまうケースも

普段なら有り合わせの物で済ませてしまうシーンでも、患者さんがいると“もっと手をかけた方がいいのか”など考えてしまいがちです。家族からは、「今までの食生活のせいでがんになったのかも」といった自身を責めるような発言をよくお聞きしますが、因果関係はいくら考えてもわかるものではありません。食事に気を遣うことは大切ですが、負担にならない程度にしたいですね。

家族

【心理的・身体的な変化】
家族の心と体に変化がある場合も

肺がんという疾患の性質から、家族の心にも心配や不安といった感情が重くのしかかってきます。そうした精神面の不安が家族に身体的な影響を及ぼす可能性も少なくありません。特に、高血圧や糖尿病などの慢性疾患のある方は、注意が必要です。体からのサインを見逃さず、自身の体も忘れずにいたわってください。

治療方針を巡って意見が対立することも

たとえば治療を山にたとえると・・・。標準治療という道を登るか、民間療法という道を登るかなど、意見が対立しがちです。患者さん本人と家族で意見が異なる場合もありますし、家族内で一致していても、親戚や知人などから“○○という治療法がいいみたいよ”という情報がもたらされ、振り回されることが多々あります。
治療の方針を決めるのは、患者さん本人と主治医であり、家族はあくまでサポート役です。
もし不安がある場合には、“家族再診”といって患者さんとは別に家族だけで主治医に相談することもできます(別途、診察料が発生します)。患者さん本人と主治医の関係性がうまく築けていない場合などにも、この制度を利用して主治医に治療方針などを尋ねるといいかもしれません。患者さん本人の意思を尊重しつつ、家族はさりげなくサポートできるといいですね。

次回は、家族が心がけたい考え方や姿勢などについて、詳しくご紹介します。