適度な運動量で、体力向上やストレス解消にも最適なウォーキング。体に負担をかけず、楽しく続ける心構えや歩き方のコツを、専門家の園原健弘先生に教えていただきました。Vol.1ではウォーキングの効果や心構えについて伺いました。

園原健弘さん

監修:園原健弘さん
ラバ・チューブ代表取締役。元バルセロナオリンピック競歩日本代表、健康運動指導士の知識と経験から、ウォーキングを生かした健康づくりを指導。

「ウォーキング=散歩」で肺がんに負けない心と体に

適度な運動は心身を健やかに保つために重要であることは、どなたでもご存知でしょう。肺がんの治療中でも、安静を心がけて体力を温存すべき時期もありますが、基本的には、ほどよい運動は体の代謝や免疫力を高め、精神的ストレスを緩和し、生活の質を高めると言われています。

とはいえ、呼吸機能への不安や気分の落ち込みなどで、肺がん患者さんは「運動」のための外出がおっくうになりがち。「運動をしなくちゃ」と半ば義務感で運動をしに外に出たものの、気後れして楽しくない…、そんな声も聞こえます。

でも、それでいいんです。楽しくない運動は効果も半減。ウォーキングというと「運動療法」の発想をしがちですが(もちろん、そうしたアプローチもあります)、それとはまた別に“意味なく歩く”という「散歩」にも、がんの治療中および治療後によい影響が期待できます。

体を動かすことによる血流の改善などはもちろんですが、大きいのは精神的な効果ではないかと思います。外に出て季節の移り変わりを感じたり、意外な場所や新しいお店を発見したり、心で“感じること”が刺激になって体にもよい影響を与えます。

ウォーキング

「ちょこちょこ&がんばらない」ほど効果がアップ!

こうした“意味なく歩く”ウォーキングの効果を高めるには、自分が「やりたい」と思ったときにやること。つまり、しぶしぶやったり、無理にがんばったりしないことが大切です。ついつい私たちは、本来の目的よりもがんばることを重視し、目的化してしまいがちです。迷ったらやらなくてもOK。そして自分を責めないようにしましょう。

そもそも、運動が続かない理由の筆頭が、がんばりすぎること。「運動するんだから、しっかりやらなければ」という思いが逆に重荷になってしまうんですね。

そこで、おすすめしたいのが「EASY EXERCISE」。適当に、楽しく、のんきに、心地よさを感じながらウォーキングしましょう。そして、気が向いたらちょこちょこと続けること。たとえば、買い物に行くときにちょっと大股で歩いてみる、いつもタクシーで病院に行くところを途中まで歩いてみる、もちろん食事前のちょっとした時間にぶらぶら散歩をしてみる…など。

ほら、どれも簡単にストレスなくできそうでしょう?がんばってハアハア息を切らしながら長時間歩くより、ちょっとずつ毎日継続する方が断然効果が高いのです。私が、故障したアスリートやお年寄りのウォーキング指導をする中で感じているのは、人間の体は毎日使うほど、活性化するということです。

体と相談・対話しながら、自分に合った方法を探す

国立がん研究センター・がん対策情報センターが発行した小冊子「がんの療養とリハビリテーション」では、ウォーキングによる有酸素運動は20〜30分間を週3〜5回行うのが理想的とされています。強度としては中程度、「もうダメ!」というきつさが100%だとしたら、「やや楽」から「ややきつい」程度の40〜60%くらい。脈拍数などで数値を目安にすることもできますが、個人差も大きいので、自覚的運動強度(RPE)でおしゃべりしながら歩ける程度というのを目安にするとよいでしょう。

なお、気分が乗らなかったり、息が苦しいと感じたり、ホコリっぽい日だったり、なにか「いやだな」と思ったりしたら、お休みすることも大切です。あくまで「ゆるっと楽しく」がウォーキングを始めるコツです。主治医と相談し、自分の体をいたわりながら、対話するようにウォーキングを楽しんでくださいね。