適度な運動量で、体力向上やストレス解消にも最適なウォーキング。体に負担をかけず、楽しく続ける心構えや歩き方のコツを、専門家の先生に教えていただきました。Vol.2では実際に歩くときの注意点やコツを紹介します。

  • 治療中や体力に不安のある方が実施される場合には、必ず主治医にご相談ください
園原健弘さん

監修:園原健弘さん
ラバ・チューブ代表取締役。元バルセロナオリンピック50km競歩日本代表、競技者としての経験から、ウォーキングを生かした健康づくりを指導している。

全身を使った歩き方で、気持ちも前向きに

前回は、ウォーキングの効果や心構えなどについて触れ、楽しみながら続けるコツを紹介しました。そこで、今回はその効果をさらに高める「身体の動かし方」について紹介したいと思います。

「心身一如」という言葉があるように、心と体は密接につながっており、相互に影響し合っています。前回は心からの働きかけが効果を高めることをお伝えしましたが、逆に体から心へも大きな影響を与えているのです。病気になると日常的な活動量が減って、体の動きが小さくなりがちです。その結果、筋肉が固まって体を動かすのが億劫になり、気分がふさぎ、ますます体を動かさない、外出するのがイヤになる、というようにどんどん負のスパイラルへと陥ってしまいます……。

それを防ぐためにも、意識して全身運動を取り入れ、さらに「体の動きを大きくすること」を心がけましょう。ウォーキングも漫然と歩くより体を大きく動かすことを意識することで、大きな筋肉に刺激を与え、全身の血の巡りがよくなります。基礎代謝が上がり、脳に酸素がたっぷり届いて、前向きな気持ちになれば、生活の質も上がっていくでしょう。

全身を使った歩き方で、気持ちも前向きに

全身を使った歩き方は、“みぞおちから振り出す”

それでは、実際に「全身を使って」歩いてみましょう。歩くことはそれだけで既に全身運動ではありますが、特に年配の方では、足首や膝だけを動かしてちょこちょこと歩く人が少なくありません。確かに末端は動かしやすいものですが、運動効果を高めるには大きな筋肉を動かすことが有効です。

そのためには、体の“体幹部”を意識しながら、脚を大きく動かすことがコツ。ただし、運動に慣れていないとなかなか想像できないかもしれません。そこで「みぞおちから脚が生えているような気持ち」で脚を振り出してみましょう。

全身を使った歩き方は、“みぞおちから振り出す”

この「みぞおち」は、ちょうど十二胸椎のあたりで、脚までつながる大腰筋の出発点にあたります。大腰筋はとても大きな筋肉で、ここを動かすことを意識するだけで、体を大きく動かして歩く感覚を掴むことができます。体に全身運動の感覚を覚えさせると、日常的にも体幹を効率的に使って動けるようになり、体を調えることで心も調うことが感じられるでしょう。

呼吸は「吐く方」を意識すれば、新しい空気が入る

ウォーキングで意識したいのはもう1つ、「呼吸」です。様々な呼吸法が提唱されていますが、最も大切なポイントは「しっかりと息を吐き出すこと」です。

人の肺活量は約3〜4Lほどありますが、普段の呼吸ではその1/8〜1/4程度しか空気の入れ替えをしていないといわれています。さらにストレスを感じると呼吸が浅くなり、取り込める新しい空気の量が無意識のうちに減少します。新しい空気を取り込むには、意識的にしっかりと息を吐き出すことが大切なのです。

息を吐くときには、肺や横隔膜だけで自然に吐くだけでなく、やや背筋と腹筋をくっつけるようなつもりで空気を押し出します。

さらにウォーキングの際には、歩くリズムに合わせて鼻から2回吐き出し、次に口から2回吸い込みます。このとき、吐く方を意識して、吸う方は自然に任せます。「吐く、吐く、吸う、吸う」というリズムで歩きますが、ウォーキング初心者はリズムにこだわるとかえって混乱しがちなので、とりあえず「吐くこと」に意識を集中しましょう。