介護保険は、病気などにより日常生活において介護が必要な方に対して、必要な給付(介護サービス)を行う制度です。原則として65歳以上の第1号被保険者の方が対象ですが、特定疾患(関節リウマチ、末期がんなど)と診断された40〜64歳の第2号被保険者の方も対象となります。「介護や支援が必要な状態である」と認定されると、サービスにかかる費用の1割(一定以上所得者の場合は2割もしくは3割)を支払うことで、各種介護サービスを利用できます。

近藤明美先生

監修:近藤明美先生
近藤社会保険労務士事務所/特定社会保険労務士 キャリアコンサルタント。
(社)CSRプロジェクト(Cancer Survivors Recruiting)にも参画し、長年にわたって、がん経験者の就労相談に取り組んでいる。

申請から認定まで時間がかかるため、早期の申請を

日本の保険制度では、基本的には医療保険と介護保険の併用は認められていません。しかし、末期がんと診断された患者さんについては、併用が認められるケースがあります。介護保険の訪問介護を利用している方が、医師の診断に基づいた治療や訪問看護を行うような場合です。

申請から認定まで時間がかかるため、早期の申請を 介護保険利用が認められると、ヘルパーさんなどによる訪問介護や訪問入浴、ベッドなどの福祉用具の利用などを1割程度の自己負担で賄えます。医療以外の「生活」の部分にかかる費用を軽減できるので、生活の質(QOL)を高めやすくなるでしょう。 申請から認定まで時間がかかるため、早期の申請を

難点は、要介護認定を受けるまでに時間がかかること。一般に要介護認定は申請から認定までに1ヵ月程度かかるといわれています。厚生労働省も急を要する場合には迅速な対応をするよう都道府県に通知しているため、申請時にはがんの進行度とともに、迅速に対応してもらいたいことを伝えましょう。退院が決まり在宅での療養を考えている患者さんは入院中でも申請は可能なので、できるだけ早く行っておくことが肝心です。

早めの申請と「暫定ケアプラン」で退院後をサポート

介護保険を利用するには、「要介護」の認定を受ける必要があります。まず申請書(市区町村の窓口かインターネットで入手が可能)と健康保険証、主治医の意見書を添えて、市区町村の窓口か地域包括支援センターに申請します。健康保険証は認定結果が出るまでは市区町村に預けたままになるので、代わりに発行される「介護保険資格者証」を保険証代わりに使います。

主治医の意見書をもとに、今度は調査員による訪問調査が行われます。介護にかかると想定される時間(要介護認定等基準時間)を推計して算出します。その量に応じて7つのレベルに分類され「一次判定」がなされます。さらにこの一次判定の結果をもとに、介護認定審査会が審査を行い、要介護度を判定します。

この決定までに約30日かかるとされており、その期間短縮はぜひとも望みたいところ。退院して自宅療養になってもなお介護認定が受けられない空白期間ができてしまうと、本人にはもちろん家族にとっても大きな負担になります。

万一のために地域包括支援センターのケアマネージャーに「暫定ケアプラン」を作成してもらうとよいでしょう。要介護認定が通知される前でもプランに沿って1割〜3割の自己負担で介護サービスを受けることができます。ただし、認定が認められないと全額自己負担になるので、ケアマネージャーとよく相談することが大切です。

介護サービスを受けるまで

  • ①申請

    住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請をします。
  • ②認定調査・主治医意見書

    調査員による訪問調査と、主治医または市区町村の指定医の診察を受けます。
  • ③審査判定

    全国一律の判定方法での判定(一次)、介護認定審査会による判定(二次)が行われます。
  • ④認定

    審査で認められた場合、7段階での要介護認定、通知が行われます。
  • ⑤計画書の作成

    サービスを受けるための介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)を作成します。
  • ⑥サービス利用開始

    ケアプランに基づいたサービスを受けられます。