肺がん患者会 - 座談会 - 2024年10月開催(東京)
2.肺がん患者会に参加するには?
※ 所属・情報については、座談会実施時の情報です。

肺がん患者会をどうやって知ればいいのか?
司川上:皆さん、どのような経緯で肺がん患者会を知って入ってこられるのでしょうか。
代三宅:多くは私のブログもしくは「Hi!フレンズ」のブログからです。参加してくれた人とはLINEでつながって、そこで今後の連絡をしています。また『おおさか がんサポートブック』やアストラゼネカさんのサイト『肺がんとともに生きる』を見て連絡をくださることもあります。「Hi!フレンズ」は、40~60代ぐらいの人が一番多くて、子育てしている人や親の介護をしている人もいて、話が合うことが多いです。がんが再発したときに「親にはとても言えない」という話や、告知されたときに「子どもにどう言った?」などの話になります。
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代野村:「肺がん患者会ワンステップしゃちほこ」の場合は、病院と連携しているので、医師や看護師から紹介されることもありますし、ピアサポーターが紹介してくれるときもあります。僕の個人的なつながりの中で「こういう患者会があるよ」という話をしてくれるときもありますね。現在はイベントのお知らせや受付はLINEでおこなっています。
代三宅:そもそも患者さんは患者会の存在を知らないですよね。「こんなのがあることを知らなかった」と言われる方が大勢います。できれば、医師が告知したときに患者会の紹介パンフレットを渡してくれたらいいなと思っています。
代川上:がんになったばかりの患者さんは、患者会や相談支援センターに相談したら、心のもやもやが解決するかもしれないというアイデアすら思い浮かばないかもしれませんね。
代野村:2023年から第4期のがん対策推進基本計画になって、がんと診断されたら相談支援センターへつなげるように推進されていると思います。そのときに患者会のパンフレットを渡してくれたら、必要だと思ったタイミングで参加できるのではないでしょうか。
肺がん患者会と日本肺癌学会の取り組み
司川上:日本肺癌学会は患者会とコラボした取り組みをしていますよね。
代長谷川:日本肺癌学会が年に1回おこなう学術集会の中には、患者・家族向けのプログラムがあります。つまり、学術集会は医療者や研究者だけのものではなくて、患者さんにもオープンにしてくださっているのです。実際に企画をする立場として患者会も入っているので、ぜひお越しいただけたらいいなと思っています。2024年の学術集会※では「肺がん患者の会ワンステップ」が横浜市鶴見区でおこなわれている早期緩和ケアの実態を共有する予定です。緩和ケアに関しては患者も触れたくないという気持ちがあるものの、必要なことなので、情報共有できるといいなと思っています。患者会には、医療者と一緒に医療を作っていくという役割もあるのではないでしょうか。
- ※ 2024年10月31日~11月2日に開催されました。2025年以降の学術集会については、日本肺癌学会のホームページにてご確認ください。
肺がん患者会に初めて参加した人の反応は?
司川上:肺がん患者会に初めて参加された皆さんはどのような反応ですか?
代長谷川:皆さん「来てよかったです」と言ってくれます。初めての方は「本当に自分と同じような方がいるのかな」「自分の治療法で本当にいいのかな」と、いろいろな悩みが頭の中で交錯しているのか、とりあえず様子を見るスタンスの方が多い印象がありますね。そこで「3ヵ月前に診断されて、こんな治療をやっています」という話をすると、「私はこうなんですよ」というような体験のシェアが始まっていくことが多いですね。共有しても何か解決策が出るわけではありません。世の中に自分と同じことに向き合っている人がいると知ることに意味があると思います。
代三宅:「Hi!フレンズ」では、初めて参加した方は誰なのかを把握していて、なるべくその方にたくさんしゃべってもらえるように「どんな感じ?」「今は何の治療をしているの?」などと聞くようにしています。それで「悩みがあったら、みんな一緒だから聞いてみたら?」と促しています。本当に皆さん「勇気を出して、来てよかった」と言って満足して帰っていきます。そこからはずっと参加してくれる方が多いです。
代野村:男性と女性でちょっと違うのかなと思っています。女性はおしゃべりすることや、「一人ではない」と感じられることで満たされる方もいらっしゃいますが、一般的に男性はおしゃべりにはあまり興味がなく、自分が納得する治療をするための情報を知りたいという方が多い印象です。一人ひとりのニーズは異なるので、限界はあるものの、なるべく一人ひとりに合わせた対応になればと思っています。
肺がん患者会に行くかどうか迷っている人へのメッセージ
司川上:肺がん患者会に行くかどうか迷っている人にメッセージをお願いします。
代長谷川:迷っているという段階まできている方なら、ぜひいらしてください。「ワンステップ」という名前の患者会なので、一歩踏み出すと、いい結果に直接つながらなくても、経験になり、何らかの自分の糧になるのではないかと思います。仮に患者会への参加が有用ではなくとも、自分に合う他の支援につながるかもしれませんし、患者会が思ったよりもよかったという評価になるかもしれません。まずは来てみないとわからないので、迷ったらぜひ一歩を踏み出してみてください。
代三宅:肺がんの治療のことや、副作用の心配、心の葛藤がいろいろあると思いますが、そういうことを皆で話せば楽になれるよ、ということを伝えたいです。
代野村:本当にいろいろな患者さんがいて、話したいという人がいれば、話すのは照れくさいという人もいるので、患者会のチラシには「自己紹介をパスできますよ」「聞くだけでもOKですよ」と記載する場合もあります。人との付き合いや参加がちょっと怖いなと感じる人には、できる範囲で受け入れられやすい形を模索します。納得した治療を受けたいですが、患者一人ではわからないことばかりだと思います。わからないことを医師に質問することが納得する治療への一歩だと思いますので、男性の方も積極的に参加してもらえたらと願っています。
司川上:いろいろな人がいて、いろいろなニーズがあるのは当然のことですし、患者会には柔軟に対応していただいているのですね。ワンステップを踏み出した人が、その人なりの魅力を見つけていけるのではないでしょうか。
2025年2月掲載