肺がん患者会 - 座談会 - 2024年10月開催(東京)
3.肺がん患者会で相談できること、活用アドバイス
※ 所属・情報については、座談会実施時の情報です。

肺がん患者会ではどんな相談が多いか?
司川上:肺がん患者会に参加された方は、どのような相談をされる場合が多いですか。
代長谷川:「この副作用に対してはどうしていますか」「この後の治療法は何だろう」「治療法がないと言われたらどうする」というように、自分が直面していることと、その先に起こり得る可能性に関する質問が多いと思います。1歩、2歩、先を歩んでいる患者さんの話を聞くことが、自分が歩いていく道しるべになるのではないでしょうか。たとえば、副作用による脱毛を隠すためにウィッグをかぶる人もいれば、いろいろな髪型を楽しむ人もいれば、ウィッグを使わない人もいます。さまざまな価値観があって、自分がこれからその状況になるときに、「他の人はこんなふうに考えていたな」と参考になるのだと思います。
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代三宅:「仕事はどうしている?」と聞く人もいます。私は「辞めるのは簡単だし、いつでも辞められるから、引き延ばせるだけ引き延ばして、今つらかったら休んでもいいから、すぐに辞めたらダメだよ」と話しています。専業主婦でも働きたいという人には「フルタイムで働いたらつらいかもしれないけれど、週に2、3回だけでも働くことによって、がんのことを忘れられる時間ができるよ」という話をしたりします。自分の経験を皆に話しているから、いろいろな意見があって、私も毎回勉強させていただいています。
代野村:これまでに出てきた相談以外で多いのは、「今通っている病院や主治医はどうか」という話で、セカンドオピニオンの是非を含めて、よく相談を受けます。「肺がん患者会ワンステップしゃちほこ」はさまざまな病院の医師が関与しているので治験を受けたい場合や、陽子線治療を受けたい場合など、その人の希望を踏まえて「こういう先生を知っているよ」と話をすることはあります。また、終末期を在宅で迎えるのか、施設か、病院かという話を時々相談されることがありますが、終末期の迎え方の相談はすごく難しいですね。一般論と個別のケースは違うし、終末期って一回決めてしまうと取り返しがつかないじゃないですか。
代三宅:その患者さんの背景にもよると思います。たとえば、面倒を見てくれる奥さんがいる男性なら在宅を選べるけれど、もし私が在宅になったら「誰が見てくれるの?」となりますよ。
司川上:そういう悩みも、本当は家族や医療者と話すだけではなく、同じ患者仲間や最期を見てきた経験のある患者会の人たちに相談すると、また異なる視点が得られるかもしれないですね。
肺がん患者会を活用するには?
司川上:これから肺がん患者会に参加される方に対してのアドバイスをお願いします。
代長谷川:いつでも患者会を使ってほしいなと思っています。それぞれが悩みを持っていて、自分が知りたいと思っていなかったことも知ることができます。多面的に見られるようになるのが患者会のよさの一つだと思います。他の人から刺激を受けて、自分の新たな疑問に気づけることが、自分の治療に役立っていくのではないのかと思います。
代野村:必要だと思ったそのときが、患者会に参加するときだと思います。「おしゃべりなんか要らないよ、俺は自分で頑張るんだ」という人が男性には多いと思うけれど、いきなり肺がんと言われて、いろいろな治療選択を挙げられて、自分で決めてくれと言われて、僕も本当に困りました。やはり自力では限界があると思います。納得する治療を受けるために、セカンドオピニオンをあちこち受けるだけの時間がないときに患者会を利用してもらって、医療者にいろいろな意見を聞いて、自分の治療に反映するような使い方をイメージしてくれたらと思っています。
代三宅:家族や友達に話せなかったことが、患者会では話せるし、泣きたかったら泣いても全然恥ずかしくも何ともないし、気持ちがわかる人がいる。あなただけじゃないよ、みんな同じだよ。だから、心がしんどくなったら来てね、と言いたいです。
司川上:皆さま、本日は貴重なお話をありがとうございました。
2025年2月掲載