免疫療法は、がん細胞による免疫の抑制を解除して、患者さん自身がもつ免疫の力を使ってがん細胞の攻撃を促す治療法です。そのうちの1つ、免疫チェックポイント阻害薬による治療は、肺がんをはじめ、多くのがん種で承認され、医療保険が適用されています。

2020年9月現在、肺がんの治療に使われる免疫チェックポイント阻害薬は、非小細胞肺がんでは抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、進展型小細胞肺がんでは抗PD-L1抗体と呼ばれる薬剤です。
非小細胞肺がんでは進行・再発のⅣ期の患者さんの治療に用いられます。また、Ⅲ期の患者さんに対しても、がんが限られた範囲にとどまっていない場合で手術が適さない場合、根治を目指した治療として、根治的化学放射線療法の後に最大12カ月間用いられます。
進展型小細胞肺がんの患者さんに対しては、化学療法(抗がん剤)に免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療がおこなわれています。
免疫チェックポイント阻害療法以外にもいくつかの「免疫療法」がありますが、肺がんに対する治療効果は認められていません。科学的な方法で効果が証明されている治療法だけが国から承認を受け、医療保険が適用されています。

免疫チェックポイント阻害薬のメカニズム

免疫の主役ともいうべきT細胞は、がん細胞に特有のタンパク質を認識すると活性化し、そのタンパク質を発現しているがん細胞を攻撃します。一方でT細胞には免疫の働きが過剰になるのを抑えるために、PD-1という受容体が備わっており、そこにPD-L1という物質が結合すると、T細胞の活性は低下し、がん細胞への攻撃をやめてしまいます。がん細胞の中にはPD-L1を発現して、T細胞の攻撃から逃避して生き延びるものができてきます。抗PD-1抗体はT細胞に発現したPD-1に、抗PD-L1抗体はがん細胞に発現したPD-L1に直接結合し、がん細胞による免疫の抑制を解除します。
このように抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体はT細胞のPD-1とがん細胞のPD-L1の結合を防ぎ、T細胞の活性を維持し、がん細胞を排除しようとする薬剤です。

免疫細胞にブレーキがかかる仕組み

参考:

  1. 日本肺癌学会編:肺癌診療ガイドライン2019年版, 金原出版株式会社
  2. 日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2019年版,金原出版株式会社